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日経の紙面から

訪日客2000万人時代に、消費3.4兆円、電子部品輸出並み、景気・企業業績下支え。

[ 2016年1月20日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 訪日外国人客「2000万人時代」に突入した。日本政府観光局が19日発表した2015年の訪日客数(推計値)は14年に比べ47%増の1973万人となり、政府目標の「20年に2000万人」にほぼ到達した。消費が旺盛な中国の訪日客が2倍強に拡大し、訪日客の旅行消費額は過去最高の3兆4771億円となって電子部品の輸出額に匹敵する規模となった。ただ今後どこまで伸びるかは不透明な面もある。

 中国からの訪日客数は2倍強の499万人に膨らんだ。韓国が45%増の400万人、台湾は30%増の367万人となった。アジアだけではない。米国は16%増加の103万人となり、初めて100万人の大台に乗せた。年間でみた為替の円安基調が訪日客をひき付け、これまでのビザの発給要件緩和や免税制度の拡充なども後押しした。

 観光庁が19日に発表した訪日客の旅行消費額は7割増の3兆円台半ばへと膨らんだ。観光庁によると、半導体などの電子部品(3・6兆円)、自動車部品(3・4兆円)の輸出額に匹敵する規模で、日本経済を下支えする存在となっている。

 訪日客の多くが訪れるのが大都市だ。百貨店などの売り上げを訪日客が押し上げているほか、恩恵はテーマパークなどへも波及。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の15年度入園者数は1400万人近くに達する見通しだが、うち1割以上が訪日客と見込む。特に中国や韓国の訪日客が増えている。

 訪日客のにぎわいは地方にも広がっている。「平成の大修理」を終え、15年3月に再オープンした姫路城(兵庫県姫路市)は15年度(15年末時点)の外国人客が23万5000人と、すでに14年度実績(8万3000人)を大きく上回った。姫路市に隣接する山間部の兵庫県神河町では、雪遊びや雪上車乗車体験などが楽しめるイベントを今冬から開始し、台湾の観光客らに好評だ。

 企業間の異業種連携も生まれている。カラオケ大手シダックスは15年12月、家電量販のビックカメラと組み訪日客向けの戦略店を開いた。ビル1階に医薬品や日用品、デジタルカメラなどを扱う。すしなど日本食の充実も図った。「訪日客は改装前よりもぐっと増えた」(広報室)。訪日客は午後9時〜夜中にかけての利用が多く、6割をアジア勢が占める。

 訪日客消費は実際、業績を押し上げている。「マキアージュ」「クレ・ド・ポー ボーテ」などの化粧品ブランドが好調な資生堂は15年12月期、訪日客による増収効果が200億円近くに上った。国内売上高の増収額の3分の2をインバウンドが占める計算になった。

識者の見方
受け入れ体制整備を

 永井知美・東レ経営研究所シニアアナリスト 15年の訪日外国人数は予想以上に増加した印象だ。14年に比べ2倍強となった中国に目がいく一方で、韓国が45%増、米国が16%増で初の100万人到達といった点も注目に値する。中国からの訪日客は内陸部からがまだ少ないとみており、今後も全体の増加をけん引するだろう。一方で訪日客の受け入れ体制の整備が急務。大都市の宿泊施設不足は深刻で、政府は一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊の扱いなどを早急に整備する必要がある。

今年4.5兆円に拡大も

 永浜利広・第一生命経済研究所主席エコノミスト 15年の訪日外国人数は1973万人だったが実質的に2000万人到達とみていい。16年は増加率が狭まるとはいえ2500万人への到達も視野に入る。15年に2倍強に膨らんだ中国の訪日客が増加をけん引するだろう。

 一方で不確定要因も景気減速の流れにある中国であり、同国の経済指標をチェックしていくことになりそうだ。中国の訪日客が順調に増えれば訪日客全体の16年の旅行消費額は4・5兆円に拡大するだろう。

【表】15年の訪日客の旅行消費額は中国が突出(観光庁)   
       消費額〓(億円) 14年比〓増加率 
中国     14,174     2.5倍 
台湾      5,207      47% 
韓国      3,008      44% 
香港      2,627      92% 
米国      1,814      23% 
タイ      1,200      25% 
豪州        870      26% 
シンガポール    579      63%

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