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クオール、在宅患者の処方薬を調剤専用拠点に集約、ヤマト宅配、薬剤師の負担軽減。

[ 2016年10月24日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 調剤薬局大手のクオールはヤマトホールディングスと組み、自宅などで療養する患者に処方薬を届ける新しい仕組みをつくる。店舗から調剤作業の一部を切り離し、専用拠点に集約。調剤した薬を宅配便で届ける。店舗で働く薬剤師の業務負担を軽減し、専用設備がない店舗でも重症の在宅患者に対応できるようにする。医療費抑制を目指す政府の在宅医療の普及を後押しする。

 在宅患者が療養に使う薬は通常、医師の処方箋を受け付けた店舗の薬剤師が調剤から配送、服薬指導までを担っている。クオールでは特別養護老人ホームや高齢者グループホームなどの入居者も対象に在宅調剤サービスを手掛けており、多い店舗では100人を超す患者を抱える。新たな仕組みが軌道に乗れば、1店舗当たり薬剤師1人分の業務軽減につながり、人件費を2割程度抑えることができるとみている。

 末期がんなど重症の患者の薬を扱うためにはクリーンルーム(無菌調剤室)が必要になる。クオールは従来、1店舗当たり1000万〜2000万円程度の費用をかけ、店舗ごとにクリーンルームを導入してきた。専用拠点を設けることで在宅調剤を手掛けていなかった店舗やクリーンルームのない店舗でも多様な患者の処方箋の受け付けが可能になる。

 まず東京都内で在宅調剤を手掛ける約30店の業務を集約する拠点「調剤ハブ」を11月、港区内にあるヤマトグループのビルに開く。新規開業する調剤薬局内に設ける調剤ハブにはクリーンルームのほか、大型の調剤機器や薬の保管倉庫も導入。調剤した薬はヤマト運輸の宅配便で配送する。患者のもとに届くタイミングに合わせ、処方箋を受け付けた店舗の薬剤師が訪問して服薬指導する。

 クオールは全国で約660店の調剤薬局を運営し、約240店で在宅調剤を手掛けている。調剤ハブの稼働を受け、都内を中心に在宅調剤の実施店舗を増やす。調剤ハブの効果や課題を検証し、将来は関西や東北、九州にも同様の拠点を設ける考え。グループ外の調剤薬局から重症患者向けの薬の調剤、配送を請け負うことも検討していく。

 厚生労働省が3年に1回まとめる「患者調査の概況」によると、2014年の在宅患者は1日当たり15万6400人(推計)。1996年の調査開始時点から2倍以上に増えている。背景にあるのは医療費を抑制するため、政府が在宅医療を促していることがある。

 在宅患者向けの診療報酬を上積みするなど政府は対策を進めているものの、慢性的な薬剤師の不足が続くなか、在宅調剤にまで手が回らないという調剤薬局は多い。クオールはヤマトとの取り組みによって、薬剤師の不足に対応するとともに重症患者にも対応できる在宅調剤のネットワークづくりを目指す。

 クオールはこれまでにもヤマトと提携し、店舗間で薬を融通する仕組みを構築。薬の欠品や期限切れによる廃棄を減らす取り組みなどを進めてきた。年間1億円程度に達していた期限切れに伴う薬の廃棄は近く半分程度まで減る見込みという。

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