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コンビニが動かす消費(中)電力・JAもすがる集客力――異業種と一体型店舗広がる、暮らし支えるニーズ吸収。

[ 2017年5月17日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 10日、JR佐賀駅の目の前にある九州電力の営業所1階で「ローソン九電佐賀ビル店」(佐賀市)がオープンした。店舗面積は233平方メートルと通常のコンビニエンスストアよりやや大きめでイートインスペースが充実する。ただ、普通のコンビニではない。

 同店は九電グループが運営し、1階に地域交流の場となる「コミュニティスペース」や「フリーエリア」も隣接する。開店日にはコンサートを開催。初の週末だった14日の日曜日には1階で手作り市、2階でチャリティーバザーも開き地元客でにぎわった。今後は雑貨作りなどの趣味講座、親子で参加できる料理教室などを開く予定だ。

 「これまで来ていただけなかったお客にも使っていただきたい」。九電の瓜生道明社長は、気軽に買い物客が訪れるコンビニと組むことで「開かれた営業所」を目指す。九州の全50箇所にある営業所のうち他地域でも順次ローソンを開く検討を進める。

 コンビニを訪れる客数は1日平均1000人前後。客層は老若男女幅広く、セブン―イレブン・ジャパンの場合は来店客の約6割が週2回以上訪れる。日常生活に根差した集客力に期待し、コンビニとタッグを組む異業種が続々登場している。

 JA全農いしかわ子会社でスーパー「Aコープ」を運営するジャコム石川(金沢市)は6月メドに、ファミリーマートとAコープの一体型店舗を石川県白山市で開く。コンビニの商品やサービスに加え、地元産の朝採れ野菜などスーパーの商品もそろえる。地域住民の交流に役立つように、キッズスペースや集会に使えるコミュニティスペースも設ける。近隣のスーパーとの競争が激しくなる中、若い世代の来店につなげる狙いだ。

 女性や高齢者のコンビニへの来店が増える中で、健康分野でも連携を模索する動きが広がる。

 「こちらの商品は味もしっかりしてカロリーも控えめです」。ファミマは2016年10月、調剤薬局との一体型店舗「ファミリーマート+日生薬局御成門店」(東京・港)を開いた。管理栄養士が常駐する「栄養ケア・ステーション」を設け、食事や生活習慣のアドバイスを受けられる。

 栄養ケア・ステーションは日本栄養士会(東京・港)が設置を推進し、全国に約240カ所(16年9月末時点)あるが、コンビニ内に置くのは初めて。「コンビニという身近なところで相談拠点を広げたい」(日本栄養士会)。ファミマは19年2月末までに同様のサービスを提供する店舗を50に広げる計画だ。

 ローソンも介護拠点併設型店舗「ケアローソン」の出店に力を入れる。介護事業のツクイなどど連携し介護相談窓口を設け、ケアマネジャーなどが駐在する。現在は9店舗で、18年2月末までに30店に増やす目標だ。

 セブンイレブンはエネルギー分野での連携を広げる。従来もガソリンスタンド併設型店を増やしてきたが、16年からは岩谷産業と組み水素ステーション併設店の出店も始めた。水素充〓のついでにコンビニで買い物をする客が多く、「エネルギーとコンビニは相性がいい」(セブンのリクルート本部法人営業部)。現在は3カ所だが、今後数年で10〜20店に増やす。

 コンビニの巨大な店舗網と固定客の存在は今後も異業種をひき付け、一体型店舗が増える可能性は高い。コンビニにとってもモノの販売にとどまらず、様々なサービスの需要を取り込める利点があるからだ。

 コンビニは従来、全国どこでも同じレベルの商品・サービスを提供することを基本理念としてきた。一律のフォーマットと地域性・独自性をどうバランスよく組み合わせて発展させるか。「進化力」も試される。

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