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ビックカメラ、「水戸たん」が広告塔――店舗を擬人化、ファン誘う(戦略ネットBiz)

[ 2017年6月14日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 私、水戸駅店の「水戸たん」です――。家電量販大手のビックカメラが店舗を若い女子のキャラクターに「擬人化」する異色の取り組みを展開している。「ビッカメ娘(むすめ)」として各店をキャラで表現。店舗のキャンペーンなどの情報を、主に短文投稿サイトのツイッターで発信している。ネット上でつかんだファンの来店にもつなげ始めた。

 ビッカメ娘は現在、29店舗にいる。ツイッター上ではキャラクターごとにアカウントが設けられ、全てを合計すると約20万のフォロワーがいる。擬人化されていないビックカメラ公式アカウントの約15倍の規模を誇る。LINEのスタンプにもなるなど盛況だ。

 「(家電の新製品の)発売前に、当店で先行体験ができます」「#ニンテンドースイッチ 6月10日 抽選結果発表!」――。各店のキャラクターが発信するのは、それぞれの店頭でのキャンペーンや商品情報が中心だ。また一般の消費者がビックカメラについて言及した何気ない投稿のリツイート(再拡散)も積極的に行っている。

 水戸駅店のツイッターアカウントの「水戸たん」は、髪形はわら納豆のようなツインテール。茨城県大洗町を舞台に戦車が登場する人気アニメ「ガールズ&パンツァー」にちなんで足は戦車風にするなど、地域に根ざしたデザインだ。

 誕生のきっかけはドワンゴのイベント「ニコニコ超会議」だった。2015年4月、クラウド型の電話サービス「ナイセン」を手がけるアイティオール(東京・港)が、超会議に参加した様子を自社キャラとともにツイッターで報告した。

 この投稿に反応したのが、ビックカメラ水戸駅店のアカウントを担っていた経理担当のとある社員。「ビックカメラ水戸駅店も何かツイッター企画やりたいです」と軽いノリでコメントをしたところ、アイティオールが店舗を擬人化するアイデアを提案。簡単なデザインを創作した。ツイッターでやりとりしているうちにキャラが固まり、完成度の高さから店長も公認。アカウントで積極的に使った。

 単なる趣味の域を超えたメリットもあった。ネット上での発信をひとつの人格を持ったキャラクターによるつぶやきであるかのように変えたことで、店舗に親近感を抱く来店者が増えた。店に置いたキャラのパネルも好評だ。地元企業と組んで水戸の魅力を紹介する冊子を作るまでになり「水戸たん」に興味を持って九州から訪れる人もいたという。

 反響に目をつけたビックカメラの堀越雄執行役員が担当者を広告宣伝部に異例のスカウト。それまでも同社としてネット発信に取り組んでいたが「お買い得情報だけではなかなか反応してもらえない。若い人の来店にもあまりつながっていなかった」(堀越執行役員)。擬人化は全社規模のプロジェクトとなった。

 ツイッターを活用していた店舗を中心に、ビッカメ娘を増やした。ネット上でのやりとりについて特にマニュアルはなく、自由にお客さんの投稿の流れを読んでもらうという。ただ不用意な投稿で批判が集中する「炎上」を防ぐため、担当者を本部に定期的に集めるなどして指導している。

 近年はネットを飛びだした展開も目立つ。各店には等身大のパネルが設置されており、写真を撮る人も少なくない。今年4月、ビックカメラ名古屋JRゲートタワー店を訪れた初老の夫婦は「なごやげーとたん」のパネルの前で「取り組みは知らなかったが、娘夫婦との話のタネになる」と記念写真を撮っていた。

 ビッカメ娘をモチーフにしたバレンタインチョコを期間限定で提供する催しやグッズに描くキャラクターをネット上の投票で決める「選抜」企画も実施した。同社ではさらに話題づくりとともに店頭での販促に生かしていく考えだ。(花田亮輔)

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