日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > ドラッグ店、小売りの主役、コンビニ猛追、店舗純増6% 高齢化ニーズに照準。

日経の紙面から

ドラッグ店、小売りの主役、コンビニ猛追、店舗純増6% 高齢化ニーズに照準。

[ 2017年7月9日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ドラッグストアが日本の消費の受け皿としてスーパーやコンビニエンスストアと並ぶ形態に成長してきた。売上高でコンビニの6割に達し、2017年度の店舗純増見込みは16年度比6%超と、小売りの中でも拡大路線が鮮明だ。食品・日用品まで扱い、今後は地域医療を担う。高齢化ニッポンのニーズをつかめば、便利さを追求した日本型小売りであるコンビニを超える存在になり得る。

 「なんでもそろう。牛乳や飲料、トイレ紙が安いのでまとめ買いをする」。栃木県栃木市のカワチ薬品栃木インター店。市内の主婦、木村陽子さん(67)は同店を週に2〜3回、訪れる。

食品・日用品安く

 地方のドラッグストアが地域で果たす役割は大きい。クルマで来店した買い物客は食品や日用品をワンストップで、しかも安く購入していく。同店の売り場は約2400平方メートルと大型スーパー並み。風邪薬などの一般用医薬品(OTC)や化粧品だけでなく日用品、野菜や加工食品、酒類まで3万5千点を販売する。

 品ぞろえがよく、他店より安いという消費者の評価を受け、出店ペースは加速している。日本経済新聞社はウエルシアホールディングス(HD)など主要10社(総売上高の6割を占有)の17年度の店舗計画を調査した。新規出店は16年度に比べ13%多い800店超と12年度以降で最高となる。

 大手10社の店舗数は17年度末に1万951店で、出店から退店を差し引いた純増は655店となる見通し。純増率6%はセブン―イレブン・ジャパンなどコンビニ大手3社が17年度に計画する前年度比2・3%や、イトーヨーカ堂など主要スーパー15社の17年度計画0・9%を上回る。

 コンビニの純増数はこの10年で最低水準となりスーパーも新規出店が12年度以降で最も少ない。日本チェーンドラッグストア協会(横浜市)の推計では中小チェーンを含めたドラッグストアの総店舗数は16年度に1万8874店。00年度比6割増え、都市部で網の目のように展開する約6万店のコンビニの3割強に達した。総合スーパー(GMS)などが加盟する日本チェーンストア協会の店舗数の2倍を超える。

 小売業の中で後発のドラッグストアはOTCから日用品、食品まで安値で販売するモデルにより1990年代から急成長が始まった。核家族化による世帯数の増加に加えデフレで強まった節約志向を追い風に客層を広げた。GMSに代わって伸びたコンビニからやや遅れ、日本の小売りの主力形態の一角に躍り出た。

 ドラッグストアは出店地域の需要に合わせて柔軟に店舗を出してきた。人口の多い都市部では医薬品や化粧品をメインに販売し、増加するインバウンド(訪日客)需要も取り込む。地方では購買頻度の高い食品の比率を上げ、スーパーの代替として存在感を高める。

 石川県が地盤のクスリのアオキホールディングスは全店の1割超にあたる52店で野菜など生鮮食品を販売する。九州地盤で西日本に800店超を展開するコスモス薬品は食品の売上高比率が6割に迫る。スーパーやコンビニとの競争は激しく、ローソンの竹増貞信社長は「業態の垣根はもうまったくない」と話す。

地域の医療拠点

 今後の成長を各社は高齢化に託す。ウエルシアHDは19年度末までに調剤併設店を現在の5割増の1500店超とし、全店の85%にする。24時間営業の店舗も4倍の400店に増やし、在宅介護など深夜早朝の急な薬の需要に対応する。「今後は地域の医療拠点となることが成長のカギを握る」(ウエルシアHDの池野隆光会長)

 薬剤師が患者の薬の服用状況を一元的に管理し、地域住民の健康相談の窓口になる店も増える。「健康サポート薬局」と呼ばれ、今後5年をめどにココカラファインは100店、マツモトキヨシホールディングスは50店を厚生労働省が定めた基準の適合店にする。

 日本チェーンドラッグストア協会によると16年度のドラッグストア売上高は15年度比5・9%増の6兆4916億円。このうち調剤を含む「医薬品」が3割超。16年度の調剤医療費全体でみるとドラッグストアのシェアは初めて1割を超えたもようで同協会はシェア5割超に高まると見込む。

 16年度には売上高で22年ぶりにマツモトキヨシがドラッグストア首位から陥落するなど大手の競争は激しい。今後は高齢化が進むことで小売業の店舗の商圏が狭まる。移ろう消費者の動向に合わせたドラッグストアの出店攻勢は、コンビニ一人勝ちだった小売業の勢力図を塗り替える可能性を秘める。(今井拓也)

ニュースの最新記事

PAGE TOP