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休み方改革、ここから始動――セブン&アイ・ホールディングス執行役員土佐谷政孝氏、一斉休暇、まず試す(複眼)

[ 2017年8月15日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 お盆休みやゴールデンウイークの行楽地はどこも大混雑。時期をずらし、もっと多く休めばいいと理屈では分かっていても、なかなかできないのが今の日本だ。こんな現状を変えようと政府は休み方改革の旗を振り始めたが、そもそも何をどう「改革」すればよいのだろうか。休みと仕事のより良い関係とは。

 小売業は生活者の暮らし方を起点に品ぞろえや販売方法などを考えて店舗運営をしなければならない。世の中で働き方が問われているなかで、我々自身も新しい働き方、暮らし方、休み方を体現しないと、生活者の目線にあったサービスの発想は出てこない。

 この業界は休みが取りにくいと言われるが、それでは社会から取り残されてしまう。このため、今年から部署ごとに一斉に有給休暇を取得するように促している。「ワーク&ライフ・シナジー(仕事と生活の相乗効果)」が通底にある。

 3年ほど前から、会社と労働組合はお客様(生活者)に近づくための働き方について話し合ってきた。実は今回は新制度を導入したわけではない。働き方に関する意識が急速に変化するなかで、厳格な制度を作るよりも「拙速でもいいからとにかくやってみよう」という意識が醸成された。職場に合った弾力的な運用を目指している。

 採用面接でもこれまで福利厚生に関する質問が多かったが、ここ数年は「実際に何日休めるのか」「残業はどれくらいか」といった質問に変わってきた。時間への関心が極めて高くなっている。過労死など社会的な問題に目を向け、自分の生活を大切にしたいという価値観が背景にある。

 グループ企業のイトーヨーカ堂の場合、年間所定労働時間は1960時間(休日は年120日)だが、土・日・祝日に来店客が多いため、シフト勤務の都合から月二十数時間の残業が発生する。

 有給休暇は年20日(1日8時間労働として160時間)あるが、実際の取得率は半分程度にとどまっている。これだと総労働時間は2千時間を超えてしまう。まずは2千時間を切らないといけない。残業時間を月10時間に抑え、有給休暇の消化率は8割(年16日)を実現したい。

 部署ごとの一斉休暇だから管理職の能力が問われる。仕事の棚卸しをし、業務効率を見直すことが急務となる。生産性向上につながらない資料作成は極力なくし、部下の仕事ぶりを細かく把握しないといけない。取引先から理解を得るための調整も大変だが、これまでの仕事の仕方を肯定していては始まらない。

 セブン―イレブン・ジャパンでは全国にいる管理職を本部に集める会議(隔週月曜日)の開始時間を午前9時から10時半に変更した。日曜日に前泊する社員がいなくなり、週末を家庭サービスなどに有効に使えるようになった。

 一斉有給休暇は始まって約半年。どのような効果が出ているのかはまだわからない。有給休暇の取得増は1・9日くらい。年間で6日増が目標なので、歯がゆさはある。休みをとった若手の男性社員と話すと、平日に育児を経験して共働きの妻の大変さがよくわかったという声があった。金曜日に有給休暇をとらせ、3連休とした部署もあった。

 会社側も従業員も一斉休暇を実施する意味について共通認識を持たないといけない。それがないままでは、労働集約型産業における生産性の向上と豊かな生活の実現には結びつかない。(聞き手は編集委員 田中陽)

 とさや・まさたか 1976年イトーヨーカ堂入社。店舗勤務などを経て98年に同社人事部マネジャー。2009年人事統括部総括マネジャー。主に人事畑を歩み、12年から現職。64歳。

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