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日経の紙面から

アクシアルリテイリング社長原和彦さん――「付加価値+低価格」を追求、健康総菜で再編に備え(トップに聞く)

[ 2017年8月14日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 食品スーパーの原信ナルス、フレッセイを運営するアクシアルリテイリング。節約志向が続き、ドラッグストアも攻勢をかけるが、きめ細かな提案型売り場の強化で成長を進めている。創業の年に生まれた原和彦社長はちょうど50歳。「経営環境が激変し、また再編が動き出す」と先を見据える。

(聞き手は日経MJ編集長 中村直文)

 ――3年ぶりですが、当時想定していた経済環境や業界の姿と、今を比べるとどうですか。

 「そこそこ再編は進みましたが、想像したほどではありませんでした。ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが一緒になったように食品スーパーでも大きな動きがあると踏んでいましたが。比較的景況感も良く、各社も業績が安定。危機感が和らいだのかもしれません。当社の業績もほぼほぼ描いていた通りでした」

 ――確かに食品スーパーの既存店売上高もまずまず。この先は。

 「これからはちょっと厳しくなるんじゃないですかね。特に人手不足。一過性の現象ではなく、人口減が進み、構造的な問題のような感じです。どの経営者も同じように感じていると思います」

外国人実習生
採用奪い合い

 ――同業の集まりでも話題ですか。

 「最近は外国人の実習生をどのくらい活用しているのか、どこの国はこんな気質が多いとか、そんな話が格段に増えています。実習生が働けるのは総菜と水産が3年。使い勝手が悪すぎるので、5年に伸ばそうという機運もありますが、それでも全然追いつかない。もう奪い合いのようで」

 「当社は7人ほど、加工工場でベトナム人を1年前から採用しています。ベトナム人はまじめで人気ですが、業界では『いい子はもういなくなった』と話す方もいます」

 ――賃金も上がり、チェーン経営の持続性が問われます。

 「あとはセルフレジですね。原信ナルスでは導入店舗数がほぼ半分です。フレッセイはセミセルフレジの導入に力を入れています」

 「生産性を上げるために加工工場をさらに作る必要がありますし、物流センターの整備も急務です。そうなると大がかりな投資が必要で、一定の企業規模が条件です。それで再編の機運が再び高まるというわけです」

 ――今後単独では成長できないと考える会社がアクシアルとの統合を考えますか。

 「経営環境を考えると可能性は否定できない」

ドラッグ対抗
独自の提案力

 ――食品の売上比率が高いドラッグストアが攻勢をかけています。

 「最近は圧倒的にドラッグストアですね。安くて、生鮮売り場も備えている。直接的な競合ではありませんが、間接的にはぶつかります。菓子の売上高について調べてみると、食品スーパーへの出荷は微減です。ところがドラッグストア向けは2桁の伸びなんです」

 「五大菓子メーカーの品物がそろえば、安い方に顧客は流れます。飲料は前からそうですが」

 ――アクシアルの独自の成長力が問われます。

 「最近、ニューコンセプトII+(プラス)というマーチャンダイジングを展開しています。1つは健康的な生活のために野菜の提案です。食卓でのメニューの出現率を見ると、サラダはごはん、味噌汁に次ぐ3番手です。キャベツやレタスなどベースも多彩で、トッピングも豊富。提案のしがいがあります」

 「総菜については数年前の株主総会で『おたくの総菜はしょっぱい。塩分が多すぎる』との意見を頂きました。減塩商品をつくってみましたが、やはり味が落ちる。そこでだしで味を調えたのです。『だし香るシリーズ』と称して、カツ重など、今は30品目ぐらい。今後は日配品にも広げていきたいですね」

 ――そもそも塩分が多い地域ですよね。

 「簡便性も重要。例えば原信川崎店(新潟県長岡市)では魚屋が作る煮物や焼き物、精肉売り場の手掛ける総菜とかをもっと強化できないかと。高齢化してくると肉もいいけど、魚を食べたいんですよね」

 ――付加価値も重要ですが、節約志向も強まっています。

 「割高な総菜を食べた翌日は出費を抑えたくなる。そこで1個29円のコロッケや1個20円のミルクパン、68円のおにぎりなど、お財布に優しい提案もしています。ただ、コロッケは北海道産のジャガイモを使っていますから、うまいことが前提です。利益も出ます」

 ――もはや節約志向は定着しましたね。

 「当社のバイヤーは20代後半から30代がメインなんですが、みんなデフレしか経験していないんですよ。価格が下がることを前提にしていて、上げる発想がないし、妙な抵抗感があるようです」

 ――規模の目標は。

 「売上高より店数ですね。今は128店舗ですが、200店舗を目指します。米国での経験則では200店でマスメリットが生まれてくるとのことですから。もちろん作ってみないと分かりませんが、フレッセイ、ナルスと統合する前後ではスケールメリットが格段に違ってきています」

業績データから
総菜・PBで収益増

 アクシアルリテイリングの2017年3月期の連結売上高は前の期比2%増の2288億円、営業利益も6%増の90億円と、いずれも過去最高を更新した。利益率の高い総菜やプライベートブランド(PB=自主企画)商品が好調で収益を押し上げた。

 18年3月期は売上高が前期比1%増の2310億円、営業利益は3%増の93億円を見込む。19年度までの中期経営計画では3年間で新規に15店出店する方針だ。売り場でもPBを増やし、サラダ売り場を強化する。200店舗体制に向け一段とアクセルを踏み込む。(新潟支局 篠原英樹)

 はら・かずひこ

 1989年(平元年)、日大農獣医学部卒、西友フーズに入社。94年に原信入社。2007年原信ナルスホールディングス専務、08年社長。13年から現職。趣味の剣道は四段の腕前。新潟県出身。50歳。

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