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ぽっちゃりですが何か、太め服、かつてはリスクいま商機、おしゃれ人口急増、アパレル目覚める。

[ 2017年8月11日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 ファッション分野で、ぽっちゃりさんの逆襲が始まった。太めのタレントの人気をきっかけに、おしゃれを楽しむ人が急増。「狭い市場だから」と放置してきたアパレル各社の目を覚まさせた。大きめサイズの通販モールが活況、実店舗の専門店も急増している。誰でも自分に似合うものが探せてこそのファッション。服が売れない時代、チャンスはニッチで膨らむ。

 東京・渋谷で出会ったぽっちゃりな女性(20)。彼女は最近、美容専門学校の友達が教えてくれた通販サイトで、1万5000円のワンピースを買った。「サイズがないことに悩むことが多いから、買い物がしやすくなりますよね」。このサイトは、カタログ通販大手ニッセンが4月に開いた通販モール「Alinoma(アリノマ)」だ。

 アリノマは女性のぽっちゃりサイズに特化。若者に人気の「アースミュージック&エコロジー」、百貨店向けの「23区」など有名どころも参加し、20ブランドで始める予定が倍の39になった。

 「ブランドさんの熱意は想像以上」とサイズ事業本部の担当者、大橋さと美さん。現在は58ブランド、約1900アイテムを扱う。3カ月間の売上高は計画の2・5倍、アクセス数は同13倍。3万円のワンピースなど高額品が売れている。「ぽっちゃり界のゾゾタウンを目指す」と大橋さんの鼻息も荒い。

 紳士服大手のAOKIは今春、大きめサイズ専門店「サイズマックス」を4年後に2・5倍の150店に増やす計画を打ち出した。17年4〜7月の既存店の売上高は1割増と好調。AOKIホールディングスの青木彰宏社長は「AOKI、オリヒカに次ぐ第3の柱に育てる」とまで言う。同業のはるやまホールディングスも専門店「フォーエル」を今期は10店出店。今月、大きいサイズ専用の通販サイトも開いた。

 にわかに盛り上がるぽっちゃり服市場。それはアパレル業界のこれまでの怠慢の裏返しでもある。ニッセンによると、20〜60歳の女性で2Lサイズ以上の体格の人は11・5%。対して、このサイズの婦人服の市場規模は全体の3・5%どまり。「太めサイズの商品が十分に供給されてこなかった」(同社)ためだ。

 太めサイズをそろえ各店舗に薄く広く置くと、売れ残りや欠品リスクが高まる。「最大公約数のマス層に売れる商品を大量投入する方が効率が良かった」とは、大手アパレル社長の率直な弁だ。

 しかしファッションとは、体形も好みも違う消費者が、自分にぴったりな服を見つけることに楽しさがある。ニッチを切り捨て、似た売れ筋を大量に作り、売れ残る。その繰り返しが今のアパレル不況を生んだ。

 紳士服専門店「サカゼン」の坂善商事(東京・中央)は、1986年から大きいサイズの取り扱いを始めた。最初の5年は赤字続き。「店が認知されない、太めな人を狙い澄ました広告が打てない、『大きいサイズ』も2Lから10Lまで様々で在庫が膨らむ」と村上隆司社長は当時の「三重苦」を振り返る。

 粘り強く電車内の広告などを打ち、固定客をつかんだ。ワイシャツを一度に10枚まとめ買いするなど、客単価は普通の2倍以上。「ニッチだがつかめば大きいマーケットだ」(村上社長)

 消費者の意識も大きく変わっている。タレントの渡辺直美さんなどの登場をきっかけに「おしゃれなぽっちゃり女性が急増した」とアパレル関係者は口をそろえる。ニッセンの大きいサイズの独自ブランド「スマイルランド」では、昔はおしりが完全に隠れる服や暗い色が売れていたが「ここ数年は短い丈やマスタード色など普通サイズと売れ筋が同じ」(同社)。

 13年にぶんか社(東京・千代田)が創刊したぽっちゃり女性向けファッション誌「ラ・ファーファ」は7万部を発行する。三越伊勢丹など百貨店とのタイアップも多く、同誌所属の20人のぽっちゃりモデルがトークイベントやショーを開催。「ユニクロやアマゾンからも引き合いがある」(同社)という。

 マネキン製造の七彩(大阪市)は3月、太め体形のマネキンを発売した。昨年12月の展示会で参考出展したところ大手ブランドなどの評価が高く、商品化に踏み切った。ぽっちゃりファッションは着実に市民権を手に入れようとしている。

 ニッチ市場は競合が増えれば掘り尽くすのも早い。しかし、アパレル業界が多様な消費者ニーズに応える一歩と考えれば、ぽっちゃりブームは大きな意味を持つ。

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