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長雨、夏商戦に水差す流れ、百貨店は訪日客が支え、プールや遊園地悲鳴。

[ 2017年8月20日 / 日経ヴェリタス ]

 三越伊勢丹ホールディングス(3099)やJ・フロントリテイリング(3086)など百貨店大手5社による7月の売上高(確報)が15日に出そろい、3社が増収だった。けん引したのは好調な訪日客消費で、猛暑も各社の売り上げに貢献した。ただ8月に入ってからの長雨は想定外。プールや遊園地などからはすでに悲鳴が上がっている。夏商戦の後半戦に影を落としつつある。

 百貨店では「7月は上期の書き入れ時」という共通認識がある。売り上げを月ごとでみると、7月は年末商戦でにぎわう11〜12月に次ぐ規模の月だ。夏のセールやお中元商戦があり、暑さから季節性の高い商品も売れやすい。

 こうした中、Jフロント、高島屋(8233)、エイチ・ツー・オーリテイリング(8242)が増収となった。三越伊勢丹、セブン&アイ・ホールディングス(3382)傘下のそごう・西武は店舗を閉めた影響が大きく前年割れした。

 百貨店の販売をけん引する最大の要因は訪日客消費だ。日本政府観光局が16日に発表した7月の訪日客数は前年同期比17%増の268万1500人で、単月では3カ月ぶりに最高を更新した。

 格安航空会社(LCC)の台頭も訪日客の消費増に貢献する。航空座席数が増えた韓国は44%増の64万人で最も多い中国(78万人)に迫る規模に伸びた。円安傾向が続いていたことで日本での買い物が割安になっていたことから、財布のヒモも緩んだようだ。

 特にLCCの恩恵を受けたのが「増収組」の3社だ。共通点は大阪の中心部に基幹店があること。関西国際空港の発着便が増え、今やインバウンド(訪日外国人)消費の中心地は大阪になりつつあるからだ。高島屋は訪日客からの販売を示す免税売上高が44%伸び、単体ベースで7月の売上高が0.6%増えた。Jフロントも大丸松坂屋百貨店の売上高が0.7%増となった。

 両社は今夏のセールを例年より1日前倒しして6月30日から始めたため、「売上高を2%ほど押し下げた」(高島屋)がプラスで着地した。H2Oも免税売上高が7割増え、百貨店事業で4.7%伸びた。各社とも化粧品や宝飾品の販売が特に好調だった。

 7月は猛暑も追い風だった。気象庁によると「7月の気温は北・西日本でかなり高く、東日本も高かった」。東京都心では平均気温が27.3度と昨年より約2度高かった。このため暑さ対策などで「パラソル、サングラスなどが好調に推移した」(Jフロント)。

 ただ8月に入ってからは一転。東京都心は19日連続で雨が降った。1977年(22日)以来、40年ぶりの長さだ。日照時間も例年の4割程度にとどまる。すでに影響も出ている。東京都競馬(9672)傘下の東京サマーランド(東京都あきる野市)が運営するプール施設「東京サマーランド」では1〜15日までの来場者数が前年同期比3割減。7〜9月期には通常、年間売上高の7割を稼ぐ。担当者は「年間で一番のピークの8月10〜16日が雨で厳しい」と嘆く。よみうりランド(9671)も8月のプールの集客は苦戦している。

 百貨店は屋外施設に比べれば影響は小さそうだが三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「基幹店は周辺の地下通路の発達で集客を保てそうだが、地方店で客足が鈍る可能性がある」と指摘する。

(野口和弘、岸田幸子)

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