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再成長占う「デジタル店」、減速ジーユー、横浜で最大規模開業、電子タグ・モニター活用、カートでコーデ提案。

[ 2017年8月28日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 ファーストリテイリング傘下の低価格衣料品店「ジーユー(GU)」は9月、横浜市に過去最大となる店舗を開く。RFID(電子タグ)を活用し、カートや鏡を通じてコーディネートを提案する「デジタル店舗」だ。消費者への新しい購買体験を提供する。商品改革などとあわせ、業績の急減速から再成長を引っ張る起爆剤と位置づける。

 「感動、発見、ファッションの喜びが体験できるように、店を強くする」。柚木治社長がGU東京本部(東京・港)でこのほど開いた説明会で期待感を示したのが、「横浜港北ノースポート・モール店」だ。売り場面積で同社最大の820坪(約2700平方メートル)という数字を示した。

 さらに広さ以上に強調したのが、ふんだんに使ったデジタル技術だ。

 来店客が店内で使うカートに設置したセンサーが、商品の電子タグから情報を読み取ると、手元のモニターに自動でスタイリングの提案画面が映し出される。色や在庫、サイズ、消費者のコメントなどもあわせて表示され、消費者の買い物を手助けする――。

 「オシャレナビ・カート」と名付けた新システムのサービスのイメージだ。客がカートを押して歩けば、今いる売り場のお薦め商品やコーディネートが示される。

 カートだけではない。売り場に設置された「オシャレナビ・ミラー」もカート同様の提案機能を持たせるという。

 売り場のデジタル化に加え、顧客とのコミュニケーションも見直す。「今は店に来る前に半分勝負があるくらい消費者は情報を持っている」(柚木社長)。単品からコーディネートへと提案方法を変えるとともに、さらに女優やモデルと会話するような感覚で商品を選べるサービスをアプリで始めるなど、動画も駆使していく。

 実店舗を強化することは、現在売り上げの5〜6%程度にとどまるネット通販事業の強化にも欠かせないとみる。ネット通販では関東1都6県での翌日配送やコンビニでの後払いなどサービスを拡充する方針だが、今後は実店舗と連携した取り組みも広げる。ネット通販の割合を30%まで高める目標を掲げる。

 店舗のデジタル化やネット事業に加え、商品改革も急ぐ。裾の広い「ガウチョパンツ」やスカートのように見えるパンツ「スカンツ」などホームランを狙う基幹商品に頼る構造を見直し、「二塁打をいっぱい打つ」(柚木社長)モデルにする。

 2017年8月期も基幹商品を打ち出した。しかしインスタグラムなどの普及で消費者の関心が多様になる中で「(ガウチョで確立した)ワザが古くなっていた」(柚木社長)という。

 ジーユーの17年8月期の業績見通しについては、16年8月期に対して営業利益は減少する見込みだ。営業減益となれば3年ぶり。トレンドの波頭をうまく捉えてきたとされるGUでさえ、一段と移ろいが激しくなる消費者の心を読み違えた。成功体験に固執せず新しいビジネスモデルに移ることが求められる。(岩戸寿)

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