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コールセンターにAI広がる――よくある質問、自動返答、LINEなど開発競う(ITトレンド)

[ 2017年8月24日 / 日経産業新聞 ]

 顧客からの問い合わせを受けるコールセンター業務に人工知能(AI)を導入する企業が増えている。LINEが無料対話アプリ「LINE」を使って自動応答するサービスを提供するなど、IT(情報技術)企業が使い勝手の高い仕組みの開発を競っている。コールセンターの人手不足は続いており、省力化につながるAIの活用はさらに広がりそうだ。

 「サイズが合わず、交換したいのですが」。アスクルの個人向け通販サービス「ロハコ」の利用者がLINEで「マナミさん」に尋ねると、「お手数ですが、○○にご返送ください。ご希望のサイズに交換します。手数料は△△円になります」と返信が来た。

 「マナミさん」とはAIを使い、顧客からの問い合わせに自動で返答する「チャットボット」のキャラクターだ。返品・交換手続きのプロセスは複雑で、交換の理由や配送日など複数の確認項目がある。「メールだと何往復も必要になる。AIの活用で人間の作業は基幹システムへの登録だけになった」(カスタマーサービス&エンゲージメントの蛯原一朗部長)

 思わぬ効果もあった。マナミさんは顧客とのやりとりのなかで、購入した商品に対して「いいですね」というコメントとともに、スタンプを送ってくれることがある。蛯原部長は「気軽なやりとりで顧客との距離が縮まった」と話す。

 このロハコの問い合わせには、LINEが4月に始めた顧客サポートサービス「LINEカスタマーコネクト」が使われている。よくある質問への回答はAIに任せ、解決できなければ人間が入力する。それでも難しければ、通話機能を使って顧客と直接、電話するという流れが1つのアプリでできる。

 コールセンター大手のトランスコスモスも同サービスを利用している。AIが対応することで、問い合わせの対応件数は1時間あたり2万5000件から、6万9000件と2・8倍に増えた。どういう会話だったかオペレーターがまとめる手間も省けた。

 リクルートホールディングスは米シリコンバレーにAIの研究所を設立するなど、AIの技術開発に力を入れている。傘下のリクルートライフスタイルは18年春に、旅館やホテルなどの問い合わせ窓口業務をAIが代行する「トリップAIコンシェルジュ」のサービスを始める。中小企業も使いやすいよう、月額1万円から提供する。

 コールセンターのオペレーターは確保しにくくなっている。顧客と直接、クレーム対応などで話すことをストレスに感じて離職するケースもある。AIやテキスト入力によるやりとりを経て、直接会話は最終手段という工程を確立できれば、オペレーターの必要人員や離職を抑えられる。

 LINEの砂金信一郎マネージャーは「ストレスがかかるイメージのあるコールセンターの働き方が変わる」と話す。アスクルはAI活用で余った労働力を、販売促進業務などに振り向ける方針だ。コストセンターの典型だったコールセンターのイメージが変わるかもしれない。(篤田聡志)

【表】コールセンター関連のAIサービスが相次ぎ登場している 
LINE 
対話アプリで問い合わせに自動応答するシステムを提供 

リクルートライフスタイル 
旅館やホテルの問い合わせ窓口業務の代行サービスを提供 

三井物産 
米社のシステムを日本に導入 

ベルシステム24 
米IBMのAIを使った自動音声応答システムを伊藤忠テクノソリューションズと共同開発

 「ITトレンド」は日経電子版「テクノロジー」の記事を同時掲載します。

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