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日経の紙面から

買収の米高級スーパー、いきなり大幅値下げ、アマゾン旋風、世界を席巻、日本でも青息吐息の百貨店、次はどこが撤退?(放電塔)

[ 2017年9月3日 / 日経ヴェリタス ]

金融記者座談会

D 世界各地でアマゾン・ドット・コムの膨張ぶりが話題だね。8月28日には米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットの買収手続きが完了した。いきなり大幅値下げしたんだってね。

A 傘下入りの初日から食品を最大43%値下げした。アマゾンが1兆5000億円(137億ドル)を投じて買ったホールフーズは、有機野菜や高級総菜が人気で成長してきたんだけど、とにかく店頭価格が高かった。やはり先手必勝とばかりに、下げてきたね。

M アマゾンはホールフーズ買収によって、手薄だった生鮮品小売りのノウハウをとりこもうとしている。生鮮品宅配にとどまらず、全米に散らばったホールフーズの店頭にも、アマゾン専用のロッカーを設けて商品の受け取りをできるようにする。ネットとリアル店舗の融合が一段と進みそうだ。

A 対する小売り大手は青息吐息だよ。食品スーパー大手の米クローガー、ターゲットの株価は昨年末に比べて2〜3割下げた。クローガーのロドニー・マクミュレン最高経営責任者(CEO)は「想定の範囲内」と強がっていたけどね。世界小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズも2017年5〜7月期決算は減益になった。客離れが著しいメーシーズなど老舗の百貨店大手はさらに厳しいよ。

T 直販にこだわっていた米ナイキなど有力メーカーもアマゾンの勢力拡大を無視できなくなり、公式販売を決めた。

S アマゾンの株価は5月に初の1000ドル台に乗せ、米アップルなど「BIG4」の仲間に入った。向かうところ敵なしといった風情だね。ジェフ・ベゾスCEOの総資産は10兆円だよ。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を抜き長者番付1位に躍り出たこともあった。

N ベゾス氏は「誰もやったことがない流通業」を志しているらしい。でもまったく黙して語らないので、その未来図は誰もつかめていないのが実情だ。既存の小売りっぽい戦略をベゾス氏に提案すると罵倒されるとのウワサもあるよ。

D 日本でもネット通販が急増し、アマゾンの勢力が増している。わざわざ店に行かず、スマートフォンで服を買う人が増えた。

K もともと屋台骨が揺らいでいた百貨店は、総崩れに近い状況だ。セブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店大手、そごう・西武は来年2月末に西武の船橋店と小田原店を閉める。船橋では複合施設への転換を検討するらしいけど、やはり「地域一番店」でないと生き残れないのかな。

S 勝ち組だったはずの三越伊勢丹ホールディングスも今年3月、三越の千葉店と多摩センター店を閉めた。他の店舗でも閉鎖を検討しているみたいだけど、伊勢丹松戸店では存続してもらうために松戸市が賃料を一部負担するという。基幹店以外は、苦戦続きで4〜8月の既存店売上高は軒並み前年割れだ。

W 地方都市では「いつひいきの百貨店が撤退するか」とヒヤヒヤしている地元民が多い。例えば四国のそごう徳島店。県内で唯一の百貨店だけど、地元では撤退観測が絶えない。フロアの一部に入っていたユニクロが閉店したと思ったら、今年4月に開業したイオンモールに新店舗が登場していた。「イオンの岡田元也社長の親族が徳島出身らしいけん大型店ができたんちゃうん?」ともっぱらのウワサだよ。

A そのイオンだって祖業の総合スーパー(GMS)部門は長期低迷に苦しんでいる。そういえば、やはりGMS部門の再建が課題だったユニー・ファミリーマートホールディングスは、傘下のユニーの株式のうち4割をドンキホーテホールディングスに譲ったね。傷が広がらないうちに手を打った印象がある。

E ユニー・ファミマの統合交渉で難題だったのは、赤字が続くユニーの不採算店をどうするかだった。15年にはいったん統合合意を先送りする場面もあった。

Y そのユニーに「破格の条件」で出資してくれるドンキが現れた。ユニー・ファミマの筆頭株主、伊藤忠商事はホクホクしてるんじゃないの。

S 次の焦点は伊藤忠が現在約37%のユニー・ファミマへの出資比率をいつ高めるかだ。食料品などの供給先というだけでなく、金融サービスなど幅広い分野で相乗効果を見込める有望な相手だ。既に市場の一角では思惑が広がっているよ。

D 日本の小売りで元気なのは、ドンキだけなのかな。

A アマゾンへの対抗意識をむき出しにしてきた楽天も最近は静かだね。通販も苦戦組が多いけど例外があるよ。カタログ通販のベルーナだ。18年3月期は11年ぶりに最高益の見通しだ。いちよし経済研究所の大石益美氏は「ネットとカタログ通販を両方使う40代の需要をつかんでいる」と話していた。

M 日米の小売りの「好調組」を見ていると、工夫次第で消費者に振り向いてもらう手はありそうだ。買い方や買い物の楽しみ方が大きく変わる中で、勢力図はどんどん変わる。小売りを巡る地殻変動はまだ続きそうだね。

アマゾン・エフェクト

 米アマゾン・ドット・コムの事業範囲が急拡大し、米国の消費に関連するあらゆる企業が影響を受ける状況を指す。百貨店大手のメーシーズ、JCペニーだけでなく、世界小売り最大手のウォルマート・ストアーズも2017年5〜7月期決算は前年同期比で減益に転じた。アマゾンは高級スーパー、ホールフーズの買収で手薄だった生鮮食品市場にも本格参入する。

 米国ではアマゾンの膨張によって、既存の小売業で働く人々が仕事を奪われるとの懸念が強まっており、トランプ米大統領がツイッターで批判した経緯がある。アマゾンは来年にかけて10万人以上の新規雇用を生み出す計画を明らかにしている。

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