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ポイント活用、再び活発、企業の引当金、5年ぶり高水準、購買履歴分析、販促に効果。

[ 2017年9月10日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 企業が顧客へのポイント還元制度を再び活発に使い始めた。主要20社のポイント引当金を集計したところ、今年3月末時点で約4800億円と5年ぶりの高水準になった。費用増加の懸念から一時は活用が減ったが、電子マネーの普及に伴う利便性の向上やビッグデータ分析による販売促進の効果が見直され、消費者を取り込むツールとして再び重視されている。

 ヤマダ電機、クレディセゾン、楽天、NTTドコモなどポイント制度を持つ上場企業20社を集計したところポイント引当金は2015年度末より約400億円増えた。引当金は付与したポイントのうち使われる可能性がある金額を積み立てる会計上の項目で期間損益を押し下げる要因になる。

 ドコモの17年3月末の残高は1054億円で1年前から33%増えた。経費削減で発行を一時抑制したが、顧客囲い込みに有効だと再定義し強化へカジを切った。15年にローソンなど他社で使える「dポイント」の発行を始め、昨年11月に子育て世代に毎年3000ポイントを付与するプログラムも導入した。「還元策強化を利用者の獲得につなげる」(ドコモ)という。

 顧客の囲い込みだけにとどまらない。ビッグデータ分析の普及により、販売促進に効果の大きいツールとなっている。

 ローソンは共通ポイント「Ponta(ポンタ)」会員の購買履歴を新商品の売れ行きの検証などに活用。糖質を抑えたパン「ブランパン」や野菜を豊富に使った飲料「グリーンスムージー」は発売当初の売れ行きが鈍かったが、データ分析の結果、リピート率の高さが判明した。商品改良や売り場の工夫でともにヒット商品に育成した。

 楽天は電子マネーとの親和性を生かしている。「楽天スーパーポイント」は楽天市場の利用だけでなく、提携するファミリーレストランなどでも獲得できる。たまったポイントは「楽天Edy」に交換でき電子マネーの普及にも一役買う。三木谷浩史社長は「今や日本円より便利な面も多い」と強調する。単独ベースの引当金残高は5年間で2・9倍に拡大した。

 クレディセゾンはクレジットカードの利用増加を背景にポイント発行が拡大。17年3月期は前の期比10%多い147億円を費用として計上した。顧客囲い込みの効果はあるが、期間損益への影響も無視できない規模だ。

 野村総合研究所は14年度に約8500億円だったポイント発行額は20年度に1兆円を超えると予測。ネット通販や電力・ガス業界などで増加が見込まれるという。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は「携帯電話など競争が激しい分野でポイント発行による値下げ競争が起きている」と指摘する。費用対効果をにらんだポイント戦略も必要になりそうだ。

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