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古着、ゴールドラッシュ!!、中古市場、3年で4割成長、トレファクもコメ兵も血眼、メルカリが火付け役。

[ 2017年9月10日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 アパレル不況をよそに、中古ファッション売買に火が付いている。フリマアプリの浸透や節約志向を受け、市場は3年間で4割も拡大した。リユース店やアプリ事業者が入り乱れて商品を奪い合う様は、さながらゴールドラッシュ。家庭にはファッション関連で3兆円相当の不用品があるとみられ、伸び代は十分。眠れる金鉱を掘り当てるのは誰だ!?

 「このバーバリーの服、古いけど値段が付きますか」「実は日本企画の商品は海外の人に人気があるんです」。7月下旬、都内のタワーマンションのロビーに、即席の買い取りイベント会場が登場した。「急いで持ってきます!」と自室に駆け出す女性もいる。

 総合リユース店のトレジャー・ファクトリーは、マンションでの買い取りに本腰を入れる。10年前に都内で始めて現在は年80棟程度だが、5年後には全国で年間1000棟を行脚する計画だ。「お客の売り先の選択肢が増え、店舗の買い取りだけでは十分ではなくなった」(小林英治取締役)。狙いは中古売買にためらいがある人たちだ。

 「中堅ブランドは値段が付くか自信がなくて店へ持って行けなかった」と高橋理恵さん(40)。3歳の息子を抱え、ネットオークションも梱包や配送が手間。部屋まで来てくれるイベントは「ありがたい」という。

 所変わって、三越日本橋本店(東京・中央)。百貨店なのに、私物の服やバッグを抱えてくる人たちがいる。行き先はブックオフ子会社のハグオール(千葉県船橋市)の買い取りカウンターだ。

 「買い物ついでに寄れて百貨店内という安心感もある。もう10回は利用しました」と都内の女性(58)。リピーターが多い理由は「押し買い」しないこと。「きれいな品は『まだお使いになった方がいいですよ』と勧める」(上之原匡営業部長)。数百万円する宝飾類なら、オークションへの出品代行も提案する。

 中古品売買に不慣れな中高年の客が多く、その分「お宝」も多い。食器なども幅広く買い取るため、一度に100点が持ち込まれたことも。「終活など身の回りの処分の仕方を相談に来る人もいる」(宮崎洋平社長)

 同社の仕入れはほぼ100%が百貨店経由で、多いときは月に10万点に達する。現在5つの百貨店に出店しており、数年後に30店体制を目指す。

 あの手この手で懸命に買い取るのは、市場が急成長しているから。専門誌のリサイクル通信によると、衣料・服飾雑貨とブランド品を合わせたリユース市場は2015年に約3900億円。3年で4割伸びた。新品アパレル市場がピークの3分の2に落ちたのと対照的だ。

 消費者同士で中古品を売買するフリマアプリの登場が大きい。代表格のメルカリは国内のダウンロード数が5000万を超え「売れた商品の半数は出品から24時間以内」(同社)。飽きたらすぐ売れる、だから安心して買える。若い世代は服を「タンスの肥やし」にせず回転させている。

 「メルカリさんが裾野を広げてくれて、競合というより味方ですよ」。複数のリユース店経営者からこんな声が聞かれたが、それはちょっとのんき過ぎる。「売って得なのはメルカリ」という体験談が、交流サイトで広まっているからだ。

 記者も同僚から託されたバッグで試してみた。伊フルラと米コーチだが、大手A店に持ち込むと汚れなどを理由に「値段はつけられません」。B店では1400円と1200円だった。元はセールで6万円と4万円の商品。同僚は「値がつけば十分」と言うが......。

 同じ商品をメルカリに出品して驚いた。4000円をつけたフルラはすぐ「いいね」がつき始め、40分ほどで成約。コーチも値下げ交渉を経て3000円で売れた。リユース店で7900円で買ったジャケットは、B店でも7000円の値が。「メルカリなら逆にもうかるんじゃ?」と8999円で出品。さすがに欲をかきすぎ、この記事の校了までに売れなかった。

 これからフリマアプリに親しんだ世代が増え続けるなか、リユース店がどう生き残るのか。答えの一つは「手軽さ」だろう。フリマアプリはひとつひとつ梱包や発送をする手間がかかるからだ。

 買い取り専門店「なんぼや」を38店運営するSOU(ソウ、東京・品川)は7月、新サービス「買取now」を始めた。米アマゾン・ドット・コムの「プライムNow」を思わせるこのサービスは電話1本、最短30分でバイク便が自宅に来る。

 梱包もお任せ。近くのなんぼやに運んで査定し、金額の連絡と入金まで数時間で終わる。利用者数は予想の2倍で、成約率はほぼ100%だという。「アマゾンを多くの人が利用するのは、届く早さと時間帯が選べる便利さ」(嵜本晋輔社長)。思い立ったらすぐ換金、の便利さがうけた。

 同社は情報力でも攻める。月内にも配信するアプリは、手持ちの品の売り時を教えてくれる。中古品の卸先との取引データを活用。ユーザーがバッグなどを登録すると、その商品の相場の変動に合わせて買い取り価格を刻々と通知する。「買った物を『資産化』してスマホで持ち歩く時代にしたい」(同)

 フリマアプリの取引では「本物なの?」という懸念がよぎる。高額品ならなおさらだ。メルカリ(東京・港)は8月、ブランド品に特化した姉妹アプリ「メルカリ メゾンズ」の配信を始めた。「鑑定歴のあるスタッフの監視も入れる」というが、投稿画像での確認には限界があるだろう。

 中古ブランド店大手のコメ兵は、10月にもフリマアプリの配信を始める。「自分たちで買って売るのが一番だが、時の流れに背いても仕方ない」と石原卓児社長。ここで生かすのが、長年蓄積してきた鑑定力だ。

 消費者同士で売買が成立した際、売り手はコメ兵に商品を送って鑑定してから買い手にわたす、という有料オプションが選べる。「偽物ではという不安を払拭するサービスが当社のブランディングになる」(石原社長)

 環境省の15年のアンケートでは、27%の人が衣料・服飾品で「過去1年間に使わなくなった品がある」と答えた。フリマアプリでの平均販売単価から試算すると、総額1兆4千億円。ブランド品と合わせれば3兆1千億円に達する。

 一方で、大和総研の今年の調査では「過去1年間にリユースで売買した」人は2割にとどまった。眠れる金脈を掘り出す熱戦は、まだ序章にすぎない。(沖永翔也)

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