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MonotaRO、資材ネット通販、成長策は、物流と顧客分析、徹底して磨く(注目企業ここが知りたい)

[ 2017年9月17日 / 日経ヴェリタス ]

工具など間接資材のネット通販を展開するMonotaRO(モノタロウ、3064)が最高益を更新し続けている。購買データの徹底分析で顧客満足度を向上。物流の自動化も進め、さらなる成長を狙う。

 茨城県笠間市。4月に新設したMonotaRO(モノタロウ)の物流拠点「笠間ディストリビューションセンター」では、商品棚を運ぶ無人搬送車(AGV)約160台が動き回っている。その距離は実に1日に約1300キロメートルに上る。

 BtoB(企業間取引)向けに工具などの間接資材のネット通販を展開するモノタロウが、拠点の自動化を進めている。企業の事業や生産に関わる部品などは、消費者向けのネット通販より納期の順守が重要だ。蓄積した顧客データを分析し適切な在庫管理を進め「欲しいときに素早く確実に届ける」という使命を果たそうとしている。

 取り扱うのは電動ドライバーやネジをはじめとする工具類や、手袋やコピー用紙などの間接資材1千万点以上。「原材料以外は全て扱いたい」(鈴木雅哉社長)というように、製造業から農業、医療・介護など扱う領域を広げてきた。もともと間接資材はセールスが顧客を回り注文を取るというオフラインでのやりとりが主流で、「現在も9割を占める」(同社)。そこにメスをいれオンラインで買うという新たな流れを構築したのがモノタロウだ。

 従来のオフラインのやりとりでは購入規模が大きければ割引もあるが中小企業は恩恵を受けにくい。その中でどの商品もいつも同じ値段で買える点が信頼につながり、顧客の約9割を中小企業が占めている。全ての商品に手元に届くまでの日数も表示され、リードタイムが一目でわかるのも好評だ。

 顧客は現在約255万件に上る。支えるのは顧客の購買データを基に構築する検索・表示システムやネット広告だ。顧客の事業分野、購入商品、どんな単語で検索し何を購入したかなどのデータを分析。例えば「手袋」と検索した場合、顧客の事業と同じ業種の過去の購買データなどを参考にし、食品工場向けならばビニール手袋、溶接ならば革の手袋など顧客が求めているであろう商品を表示する。

 欲しい部品や機器がどこで買えるか分からずネットで検索し、モノタロウのページにたどり着く人も多い。そのため「リスティング広告などを強化している」(甲田哲也執行役)。商品の一覧性に優れるカタログも過去の購買履歴をもとに購買確率を計算し、購入が期待できる分野のカタログに絞って顧客に届けるため無駄も少ない。大量の商品から必要なものを簡単に見つけ出せ購入につなげられるよう、データの分析は要となっている。

 人手不足という物流業界の課題は同社にも影響を与える。兵庫県尼崎市の物流拠点では佐川急便を利用し、「値上げ要請があった」(同社)。笠間の物流拠点はヤマト運輸と契約したばかりで値上げ要請はないといい、「いかに効率よく合理的な物流体制を築くかが今後重要になる」(甲田執行役)。

 笠間の拠点で進める自動化は1つの策だ。従来は人が歩き回り商品を集めていた。「1人当たりの歩行距離は10キロメートルを超え全体の50〜55%は歩いている時間」(鈴木社長)だ。笠間では商品を載せた棚をAGVが持ち上げ集約地点まで届け、対象商品をレーザーで照らし、従業員が取り上げる。誤発送も減った。「たとえ送料負担が増えても、発送頻度が上がりコストも抑えられればカバーできる」(甲田執行役)

 ただ予想を上回る注文に対し、笠間の拠点の整備は追いついていない状態だ。尼崎の拠点に派遣従業員を増やして対応している。年内に笠間の在庫を20万点に増やし「注文全体の半分を出せるようにしたい」(甲田執行役)というが、物流拠点の整備は不可欠だ。

 顧客の定着も鍵を握る。新規顧客は利益率の高いプライベートブランド(PB、自社商品)よりナショナルブランド(NB)を選ぶ傾向にあり、2017年4〜6月期の単体の粗利率はほぼ横ばいだ。「まずは規模の拡大を重視し長期でみてPBの売り上げも伸ばしていきたい」(甲田執行役)といい、継続して顧客の心をつかむ必要がある。

 8月に開始した中小企業向けの電力小売事業「モノタロウでんき」は顧客のつなぎ留めに貢献しそうだ。新電力のイーレックス・スパーク・マーケティング(東京・中央)と組み、電気料金の一部はモノタロウの収益にもなる。電力は継続した利用が予想され、モノタロウの利用促進も見込める。

 購買管理システムも提供する大企業向けは、売り上げの1割を超えた。物流体制など課題はあるものの、さらなる商品の充実と納品の迅速化で顧客層を拡大できれば、売上高1千億円を超える日も近そうだ。

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