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スギホールディングス(愛知県)――無料診断機器で病気予防(医療介護最前線リポート)

[ 2017年9月14日 / 日経産業新聞 ]

 スギホールディングス(HD)は運営するドラッグストアに、セルフサービス式の健康診断機器の導入を進めている。中部地域の大型店舗から導入を始め、現在では30店ほどに広がった。来店客は無料で自由に使える。店舗の近隣住民などの健康意識を高め、病気の予防や早期発見につなげている。

 5月に開業した愛知県大府市の「スギ薬局森岡店」。子会社のスギ薬局が運営する同店の入り口近くには血圧計や骨密度の測定器、血管年齢が分かる機器などがずらりと並ぶ。利用はすべて無料。来店客は説明書を見ながら自分でパネルをタッチし、簡単な操作で測定できる。

 用意されているのは「病院や介護施設などで使う精度の高い測定装置が中心」(スギ薬局)。買い物のついでに高齢者や親子連れなどが訪れ、気軽に利用しているという。日常的に血圧などを測ることで健康への意識が高まれば、自らの体調不良や病気にも気がつきやすくなるといった効果が期待できる。

 「森岡店」で働く女性の管理栄養士は「来店客から健康を考えた食事の相談を受ける機会が思ったより多い」と話す。店舗に常駐する管理栄養士や薬剤師が生活習慣の助言をしたり、病院での診察を勧めたりすることもあるという。

 スギHDは全国に1000店強のドラッグストアを展開している。ドラッグストア業界は大手同士の競合が続き、日用品などを中心に価格競争も激しさを増す。その中で、スギHDは安売り競争から距離を置き、地域の医療拠点への脱皮を目指している。

 商品面でも利用者のニーズに応える。森岡店の食品売り場には、管理栄養士が監修した弁当や高齢者でもかみ砕きやすい介護食を集めたコーナーを設けた。サプリメントや栄養食の種類も充実させている。

 高齢化が進むなか、今後は在宅で医療や介護を受ける人たちも増えていく。病院や介護施設だけでなく、身近にあるドラッグストアも地域の患者を見守る拠点としての機能が期待される。

 スギ薬局は病気の予防だけではなく、治療にも積極的に参加する。患者の自宅などを訪問して薬剤を提供したり、服薬指導したりする在宅医療対応型の店舗は全体の4割を占める約390店まで増えた。

 高齢者に寄り添う医療サービスを掲げており、調剤室に備えた無菌状態のクリーンルームで、点滴薬調合から配達までを受託する店舗もある。抗がん剤や専用の免許が必要な医療用の麻薬も提供する。

 訪問看護も8拠点を展開している。今後は地方自治体との連携なども強化し、地域医療や介護のネットワークを広げる方針だ。スギHDの杉浦広一会長は「健康相談や運動、服薬の指導から、病院の紹介までトータルで地域の人の生活を最後まで支えたい」と意気込んでいる。

(名古屋支社 高橋そら)

《会社概要》
▽所 在 地 愛知県大府市横根町新江62の1
▽電  話  0562・45・2700
▽従 業 員 約5500人
▽事業概要  在宅医療や地域医療に対応したドラッグストアチェーンの運営

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