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ヒットの予感――働き方改革でさまよう会社員、平日夜、公園・カフェに出没(消費を斬る)

[ 2017年10月9日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 働き方改革の名の下、社員の残業時間を抑制する企業が増えている。私生活を充実させる「ワークライフバランス」を看板に掲げるものの、かえって時間を持て余す会社員も少なくない。中には「早く帰っても気まずいだけ」とぼやく妻子持ちもいる。定時で追い出された会社員たちの居場所を探るため、平日夜の街を歩いた。

 9月29日金曜日。早期退社で消費を促す「プレミアムフライデー」の日、オフィス街と飲食店街に囲まれた新橋駅(東京・港)周辺は夕暮れ時から飲み会に繰り出そうとする会社員たちであふれかえっていた。ぐるなびによると平日夕刻に割引する「ハッピーアワー」導入店の割合は2年前と比べて1・7倍だ。

 午後9時すぎ、新橋駅そばの桜田公園。人混みの中、ベンチや花壇の縁に一人で座るスーツ姿の中年男性が目に付いた。コンビニコーヒーを片手に、イヤホンで音楽を聴きながら文庫本を読みふけっていた42歳の独身男性に声をかけると「家に帰っても寝るしかない。残業を減らすように言われ、午後6時には会社を出た」という。最近は退社後の時間を公園やカフェで過ごしているという。

 近くのバーに入ると、会社員男性(37)がカウンターでハイボールのグラスを傾けていた。「家族と仲が悪いわけじゃないが、早く帰ると面倒もあるので帰宅は家族が寝静まった頃」。残業が減っても、自由な時間を持て余す会社員は少なくないようだ。

 NTTデータ経営研究所の調査によると、働き方改革に取り組む企業の割合は17年度、36・4%と2年前より14・2ポイント上昇。そうした企業の多くでは残業時間を減らしている。ただ、残業が減っても、給料は増えず、積極的な消費にはつながりにくいようだ。

 大阪市の男性会社員(42)は早帰りの日、会社を出て同僚と向かう先はセブンイレブン。ウイスキーや炭酸水、氷などを買い、イートインの席でハイボールをつくる。「1人千円で飲める」と笑う。大阪市在住の西山泰広さん(41)は吉野家へ。「飲む前に牛丼を食べておくと、つまみを頼みすぎなくて済む」という。

 退社後、家電量販店や百貨店に寄り道する会社員もいる。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京・千代田)の店員は「最近はスーツ姿の男性客が増えてきた」と話す。西武池袋本店(東京・豊島)では午後5時を過ぎると「仕事帰りの客で屋上や食品売り場にあるワインの立ち飲みコーナーがにぎわう」。高島屋日本橋店(東京・中央)では9月の来店客数は前年同月比1%増だが、午後5〜7時に限れば2%増という。

 定時に会社を追い出されるため、仕事を持ち帰る人も少なくない。受け皿の1つがコーヒーチェーンだ。秋葉原駅前のコーヒー店で店員に話を聞くと「午後7時ごろ、1人でパソコンを広げるサラリーマンが増えた」と話す。

 米スターバックスが店舗コンセプトとして定着させた、自宅や職場と違う心地よい居場所を指す「サードプレイス」。残業時間が減り、給料が増えない中での働き方改革によって、さまよう会社員たちのサードプレイスはどこなのか。増え続ける彼らの受け入れサービスには大きな商機がありそうだ。(池下祐磨)

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