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三越伊勢丹、再起へ手探り、20年度、利益目標を下方修正、新通販サイト、4000社招集(ビジネスTODAY)

[ 2017年11月8日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 三越伊勢丹ホールディングスは7日、2020年度までの中期経営計画を発表し、インターネット通販を成長の軸にする考えを明らかにした。店とネットを融合したサイトを新たに立ち上げ、4千社の取引先に参加を促す。ただ20年度までの営業利益目標を500億円から350億円に下方修正するなど足元の劣勢は否めない。再起への手探りが続く。

 「高齢者を中心にアマゾンのサービスに満足していない消費者は相当数いる」。7日記者会見した杉江俊彦社長はネット強化の狙いを語った。

 18年4月をめどに「三越伊勢丹」ブランドの独自通販サイトを開設し、取引先の衣料品メーカーや食品メーカーに参加を呼びかける。百貨店の店頭では扱わない比較的低価格の商品や自社サイトを持たない企業の商品を集め、三越伊勢丹は販売数量に応じて手数料を得る仕組みだ。

 すでに衣料品大手のサンエー・インターナショナルや下着大手のワコールなどとサービス立ち上げに向けた協議を始めた。顧客情報の一元管理など売り場を含めたデジタル化を進め、米アマゾン・ドット・コムなどのネット勢に対抗する。

 ただ今回修正した利益目標にはネットによる販売底上げ効果はほとんど織り込んでいない。足元では訪日客需要が堅調だが、売上高は微増の見通し。17年度の営業利益見通しからの上積み分は、不採算事業の整理や人員削減といった合理化によるものだ。杉江氏は「利益目標を追うためかなり無理をしていた。当面は構造改革に専念する」という。

 従来の目標は3月末に引責辞任した前社長の大西洋氏が策定した。杉江氏が保守的な見通しに修正したのは前任者の拡大路線と決別するためでもある。だが新目標はJ・フロントリテイリングが中期計画で示した560億円(国際会計基準)の6割の水準だ。国内証券のアナリストは「Jフロントが脱百貨店、高島屋がまちづくり戦略を打ち出すのに対し、三越伊勢丹には明確なビジョンが見えない」と指摘する。

 他社が不動産事業主体の経営への転換を図るなか、杉江氏はあくまで百貨店の立て直しにこだわる。「我々の最大の資産は400万人の顧客基盤。ITを活用したより高度な接客に取り組み顧客との接点を強化する」と杉江氏。ネット強化はその一環だ。

 米国では最大手メーシーズなど多くの百貨店がネットへの顧客流出に苦しんでいる。だが一方でネット通販の構成比が高いノードストロームは17年2〜7月期の売上高が3・5%増えた。ネットと融合を図る戦略は日本でも通用するのか。

 店舗型小売業の経営者の多くがネット勢への対抗策として「独自商品と接客」を挙げる。品ぞろえへのこだわりや丁寧な接客は本来、百貨店が最も得意な分野だ。消費者との接点を再構築しデジタル時代の店舗モデルをどう築くか。杉江氏の知恵と実行力が問われる。(中山修志、野口和弘)

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