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アマゾンエフェクト(2)ついに生鮮宅配まで(迫真)

[ 2017年11月7日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 「寝る前に注文したら翌朝には新鮮な食材が届く。もうやめられない」。こう話す東京都港区に住む女性会社員(46)は、アマゾンジャパンの生鮮品宅配サービス「アマゾンフレッシュ」の常連客だ。

 自宅近くのスーパーが人手不足を理由に閉店時間を早めたため、残業の日は買い物ができず同サービスを利用するようになった。「少し高いけど、子どもも朝食がおいしくなったと言うので満足している」

 日本でも膨張を続けるアマゾン。本、家電、車など取扱商品を増やしてきたなか、「ついに生鮮宅配まで」と既存小売業を脅かしている。

 生鮮宅配の物流拠点は川崎市にある。そこは同社で「最もアナログ」とアマゾンフレッシュ事業本部副本部長の荒川みず恵は話す。

 2階は最新鋭ロボットが動き回るハイテク倉庫だが、1階は様子が違う。例えばブドウ。従業員が棚からパックを取り出し、上下、左右、前後の6面を入念に点検する。傷んでいる粒があれば、出荷はせず、他のブドウのパックに取り換える。

 野菜や肉を全て目視で確認。通常の3温度帯より細かい6つの温度帯に分けて商品を保存し、鮮度を保つ。商品も人手で棚から取り出し、他の商品にぶつけて傷まないように宅配バッグに丁寧に入れる。カメラでの画像認識を使えば効率的だが「農作物は産地や季節によって変わる。この色ならいいというのは難しい」(荒川)とアナログにこだわる。

 日本の小売りの巨人も黙ってはいない。セブン&アイ・ホールディングス(HD)は11月28日、アスクルと組み生鮮宅配「IYフレッシュ」を始める。

 「アマゾン対抗を第一義としているわけではない」と両社は強調する。だがセブン&アイHD社長の井阪隆一(60)は「自前にこだわって時間をかけると顧客のニーズから離れる」とネット通販の伸びという消費動向の変化に危機感は強い。物流というインフラを持つアスクルとの提携を約3カ月の短期間でまとめた。

 アマゾンもセブン&アイを意識する。10月下旬から2018年1月末までの限定で、アマゾンフレッシュ配送料の無料枠を6千円以上の購入から、4千円以上にした。IYフレッシュの配送料が無料になるのは4500円以上の購入だ。セブン&アイのサービス開始前から争奪戦は始まっている。(敬称略)

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