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セブン、長期成長へ覚悟の減収、コンビニ、新店開発などテコ入れに軸足。

[ 2017年11月26日 / 日経ヴェリタス ]

 セブン&アイ・ホールディングス(3382)は20日、傘下のセブン―イレブン・ジャパンの10月の既存店売上高(確報値)が前年同月比でマイナス0.5%だったと発表した。減収は2012年7月以来、63カ月ぶりだ。週末に2度の台風に見舞われて客数が減った。人口減、国内コンビニ市場の飽和といった懸念、ネット通販の台頭などの課題を前に、一時しのぎのセールなどに頼らず新型店の開発など抜本的なテコ入れに軸足を移したことも減収の背景にはあるようだ。

 10月の悪天候は小売業全体の売り上げに響いた。各業界団体が先週、相次いで発表した業界平均の既存店売上高は、コンビニ、スーパー、百貨店ともそろって2%近くのマイナスだった。セブンも全体の下押し圧力に屈した形といえる。

 ただしセブン側は覚悟の上での減収を強調する。ある幹部は「月半ばから苦しいのはわかっていた。セールなどの販促を打てば、前年超えの売上高は作れたが、あえてそうはしなかった」と証言する。

 セブンは足元で、より長期的な視点で成長戦略を考えるように変わってきている。その1つが販売促進策だ。

 今年度に入り、セールなどの期間を数日ではなく、数週間に延ばしている。3月と5月、朝方にコーヒーとパンのセットを税込み200円で販売した「朝セブン」は約3週間。これまでは「パンの30円割引を5日間」といった短期集中が多かった。

 そのねらいについて、IR部の斎藤和弘シニアオフィサーは「売り上げ増の効果を長期的に発揮させたいから」と話す。

 販促期間が長くなれば、店ごとにいつ、どんな商品の在庫を積めば売り上げを増やせるかの精度が上がる。店内の装飾を変える頻度も減らせるため、浮いた時間をより接客や陳列に使えるようにもなる。

 店舗の刷新にも取り組む。今年度から、レジを置くカウンターを広げたり、冷凍食品や米飯などのケースを増設したりする「新レイアウト店」を増やしている。調理済みの食品を自宅で食べる「中食」需要を取り込むためだ。新レイアウト店は今後4年で全体の半数前後の1万店とする予定。レジ横の総菜や弁当などの販売が増え「1店1日あたり、2万円程度の増収が見込める」(IR部の斎藤氏)。

 21日にはソフトバンク(9984)と提携し、18年度中に約1000店を自転車のシェアサービス拠点として活用すると発表した。こちらも導入店舗は2%程度の客数増を見込む。

 目下、コンビニ業界が苦しむのは、時給上昇による加盟店の人件費の膨らみだ。セブンは9月から、加盟店の経営指導料を1%引き下げた。半期で80億円の収益悪化要因となる。このためセブン&アイは18年2月期の国内コンビニ事業の営業利益が前期比0.5%増の2450億円にとどまるとみている。

 こうした中でセブン&アイの井阪隆一社長も「販促は利益に効果のあるものに絞りたい」と話す。今回の減収は、今後のセブンが単月の収入よりも、長期の利益に軸足を移した証左とも言えそうだ。(野口和弘)

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