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日経の紙面から

セブン、シェア自転車の拠点に、ファミマはジム・ランドリー併設、「変身」コンビニ、成長鈍化に焦り(放電塔)

[ 2017年12月3日 / 日経ヴェリタス ]

人手不足と人件費高騰で苦境、集客力復活なるか
金融記者座談会

D コンビニ各社が相次いで新規事業を打ち出しているね。

M 最大手のセブン―イレブン・ジャパンは話題のシェア自転車事業に参入する。通勤・通学で自転車を使う人は増えているし、インバウンドなど観光客ニーズも当て込んでいるようだ。2018年度までに全国1000店に5000台を設置する予定だよ。既にNTTドコモ系とは32店で始めていて、今後はソフトバンクグループとも連携していくんだって。

S ファミリーマートも矢継ぎ早に新サービスを発表したね。まずは単身や共働き世帯に人気の高いコインランドリー。駐車場の一部に併設する形で、18年度中に100店、19年度には500店に広げるという。自宅の近くにも最近コインランドリーができたけど、週末にまとめて洗濯したいというニーズは強いようだ。15年度時点で全国に1万8000店に拡大したとの推計もあり、専業のWASHハウスは昨年上場した。ファミマは24時間のフィットネス事業にも参入するというから、はやりのビジネス全員集合という格好だね。

D しかし、ここに来て新規事業の参入が相次いでいるのはなぜなの?

M 最大の狙いは集客効果だ。「街のインフラ」としての機能を広げ、たくさんのお客さんに来店してもらうのが目的だ。例えばコインランドリーで洗濯する間、コンビニで食べ物などを買って「イートイン」を利用してもらうとかね。シェア自転車に関してもセブンによると、実験的に導入した店舗では客数が2%増えたというから、ばかにならないよ。

S 小売りの勝ち組と言われたコンビニだけど、最近では成長鈍化が鮮明だからね。日本フランチャイズチェーン協会によると既存店の来店客数は10月まで20カ月連続で前年割れ。あの「絶対王者」のセブンですら10月は既存店売上高が63カ月ぶりにマイナスだった。協会の資料をもとに試算すると、全コンビニの1日当たり1店舗の平均客数は17年10月で854人。2年前から40人ほど減った計算だ。「ついで買い」などで客単価は617円と21円引き上げたけど、とても補い切れない。

T 新規出店で売り上げを増やそうにも16年度末に大手3社だけで約5万店もあって、出店余地は狭い。セブン幹部は「空白地は国内だけでもいくらでもある」と相変わらず強気だけど、その空白地には他社がすでに出ていたりするからね。かたやユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長は「むやみに店舗数を追い求める時代ではない」と話すが、サークルKサンクスとの統合で1万8000に膨らむ店舗の質をどう高めるかで大わらわ、というのが本音かな。いずれにしろ客数をどう増やすかは喫緊の課題だ。

K 成長鈍化だけじゃない。最大の経営課題は人手不足と人件費高騰じゃないか。都内のコンビニオーナーに話を聞くと、夜中のアルバイトが見つからず「おてつだいネットワークス」を月5回ほど使っているという。翌日の夜中5時間だけ、といった超短期のバイトを募集できるサービスだが「時給を高くしないと採用できないし、交通費も支給。おまけに採用すると3000円を成功報酬として支払うので普通のバイトの1.5倍くらい費用がかかる」と嘆き節だ。

T コンビニのフランチャイズオーナーにとって本部に払うロイヤルティーも軽くない。経費が増えればFCは厳しい。

K 首都圏湾岸部を中心にローソンを展開してきたシー・ヴイ・エス・ベイエリアの苦境は象徴的だね。運営する107店の大半を約48億円でローソンに売却する。同社は「新たな出店余地が狭まっている上、店舗の賃料水準が大幅に上昇。新規出店による継続的な事業規模の拡大が難しくなってきている」と理由を発表していた。

M 複数店のファミリーマートを運営するオーナーに話を聞くと「人件費を考えるとコンビニは成長余地がない。今後はコンビニ事業を徐々に縮小してコメダ珈琲店を始める」と驚きのひと言だ。

D だからこそコインランドリーなどの新規事業で客数を増やし、施設の地代収入などでオーナーも潤すという算段かな。しかし、それだけでは厳しいよね。

M 本質的な解決策は来てもらったお客さんにちゃんと買ってもらえる商品やサービスを出す。それが王道だろう。いれ立てコーヒー以降、革新的な新サービスを出せていないからね。そういう意味で最近、各社が力を入れているのがお総菜などの中食だ。ローソンの竹増貞信社長は「女性の社会進出、シニア化、核家族化で、家庭が家事にかける時間はこれまでより必然的に少なくなる。食の需要には商機がある」と強気だった。ファミマをみても総菜やおつまみコーナーが目に見えて増えたね。

T 日本惣菜協会によると、16年の中食の市場規模は9兆8399億円と5年で2割伸びた成長分野だ。すでにコンビニは3割強までシェアを高めたけど、やり方次第で伸びしろはある。自宅で調理する「内食」や外食も含めるとなんと70兆円規模。外食やスーパーから客を奪って成長してきたコンビニだけど、さらなる成長に向けパイの奪い合いは一段と厳しくなるし、異業種も含めた合従連衡も増えてくるかもね。

フランチャイズチェーン

 本部が商標や営業のノウハウなどを提供し、フランチャイズチェーン(FC)に加盟した側が店舗を運営する仕組み。FC側は本部に対し、ロイヤルティー(経営指導料)を支払う。コンビニではかつて格安チェーンの台頭で経営が悪化していた酒販店がFC加盟店となる事例が多かった。

 経営指導料については企業ごとに異なる。セブンイレブンは今年に入って1ポイント引き下げた。一方、ファミリーマートは2016年に経営指導料を引き上げ、かわりに水道光熱費や弁当の廃棄などの損失に対する本部の負担を増やした。

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