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アパレル接客、1万人選手権、アダストリア、店の強み・意欲育む。

[ 2017年12月7日 / 日経産業新聞 ]

 カジュアル衣料大手のアダストリアは販売員の接客スキル向上を狙い、大規模な接客競技大会を始める。20ブランドを超える約1300店から、正社員と非正規社員の計1万人強が参加する。ファッション業界ではネット通販の拡大や消費者の好みの多様化で、いかに来店してもらうかが課題だ。ブランドの枠を越えてスキルを磨き、店舗の競争力を高める。

 接客競技大会は毎年1回開く予定だ。第1回は2018年春から秋にかけて選考する見込み。

 「野球に例えると甲子園、アイドルグループのAKBでいうと『総選挙』のような、販売員全員が目標にする催しにしたい」。アダストリアの関係者はこう意気込む。

 大会では、まずエリアマネージャーが商業施設ごとに店頭での販売力が高く、やる気がある販売員を選抜する。「大会のためというよりも、普段の働き方を重視して推薦する」(営業人事部の小堀晴美シニアマネジャー)やり方だ。選ばれるとその時点で、接客スキルの程度を示す「ブロンズ」の認定を受けて、バッジがもらえる。

 次は北海道や東北、首都圏、関西など支店別の選考会に進む。

 ロールプレイング形式を採り入れた選考方法を想定している。持ち時間7分のなかで来店者に接客。笑顔や言葉遣いなど基礎的な接客のほか、顧客のニーズを引き出せているか、楽しい雰囲気をつくり出せているかなどを審査員が評価する。ここを通過すると「シルバー」の認定を受ける。

 その後はさらに関東や関西などより大きな地区での選考会を経て、最終的に約20人が10〜11月に開催する予定の全国大会に進む仕組みだ。全国大会で上位に残った販売員には「プラチナ」認定のバッジが授与される。

 アダストリアは「グローバルワーク」「ローリーズファーム」といったブランドを持ち、全国の商業ビルやショッピングセンター(SC)などに出店している。

 同社は5年ほど前から「販売力強化研修」という販売員の研修プログラムを導入。受講した販売員にはバッジを渡すなどして訴求していたが、社内の「認知度は低かった」(小堀氏)という。

 また、ルミネやイオンモールなど出店先のSCなどが開催する接客大会も存在するが、出場できる販売員は限られていた。そこで販売員が平等に出場機会を得られる方法として、接客大会の開催を決めた。

 9月に「支店制度」を導入したことも大きかった。これまでは販売員の人材管理はブランドごとにエリアマネージャーが見ていた。それをブランドの垣根をなくし、全国を17の「支店」に分割して地域ごとに管轄する方法に切り替えた。

 地域密着により、地域の実態にあった人材管理を進めていく狙いからだ。また、ブランドの垣根を越えた異動をしやすくすることで、販売現場で「長く働きたい」と思う環境づくりにもつなげていく方針だ。

 この支店制度の導入以降、各地域でエリアマネージャーが新人研修も担当するようになった。

 各ブランドから新人の販売員が参加し、接客に必要な基本的スキルを学んでいる。こうした研修体制が、今回の接客競技大会の基となる。

 小堀氏は「大会を通じて各販売員のスキルが高まり、やる気が波及すれば、全体の販売力も高まる。店舗にも自然と人が集まる」と期待する。

 来春からの開催に向けて11月には選考会を試験的に実施。九州・沖縄と北関東から計28人が参加した。結果として9人が通過したが、中には男性販売員もいたという。

 最近では消費者は「ゾゾタウン」や「アマゾン」など、ネット通販を使って衣料を購入するようになった。アパレル企業の電子商取引(EC)の比率も伸びている。

 アダストリアは「販売員と話しながら購入することを楽しいと思ってもらえるような」接客を追求する。顧客の好みや考えに沿った提案力を磨くことで独自性を示す考えだ。接客大会は販売員に働く意欲を与えながら、接客の質も高める一歩となる。(原欣宏)

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