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海外インターン、リーダーを発掘、ファストリ、米英などの店舗で、主体性磨く機会に。

[ 2017年12月19日 / 日経産業新聞 ]

 カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、インターンシップ(就業体験)を通じた次世代リーダー発掘に力を入れている。海外などで実際の業務に触れ、仕事について考えを深めてもらう。対象は大学生が中心だが、1年生など希望者を幅広く募る。アジアを軸に積極出店を続けるためにも、優秀な人材を確保し、育てていく。

 「もっと売り上げを伸ばすにはどうすれば良いかな」。米ニューヨークのユニクロ店舗。販売員は日本から来た十数人の学生に問いかけた。

 学生は、商品を購入する立場から提供する立場となって、店舗をより良くするために仮説を立てることが求められる。

 しかもここは異国の地だ。主体性はもちろん、語学力やコミュニケーション能力、分析力など、さまざまなスキルが試される。店内を歩き回って気付いた点を書き留め、疑問点があれば販売員に質問。顧客の声を聞くため現地の人にアンケートも実施する――。

 これは「グローバル スタディ プログラム」と呼ぶ1週間のインターンでの一幕だ。派遣される先は米国をはじめ、英ロンドンや上海、シンガポールなど様々だ。

 2016年に初めて実施。就活年次の大学3年生に限らず、大学1年生から既卒まで幅広く門戸を開く。18年2月には約60人が研修する予定だ。

 期間中は店頭だけでなく、企画や生産、物流を担う現地本部も訪れる。また、インターンの前後には国内で研修会を開催。現地での課題や成果について発表する。

 16年にロンドンに渡航した後にファストリに入社した内田涼太さんは「海外でビジネスをすることは本当に地道で着実な成果を求められると学んだ。期待以上の成果と仲間を得られた」と話す。同じく16年にシンガポールに渡航し、入社した塚本将貴さんは「インターンで出会った社員は、それぞれ夢を実現するために働いている姿が楽しそうだった」と振り返る。

 人事部の山崎麻紀・採用担当部長は「当初受け身だった学生らが、現地での経験を通じ、自分から考えて動くようになる。その変化に成長を感じる」と話す。ファストリにとっても、学生の個性豊かな意見から新たな発見が得られるという。

 17年からは「グローバル ビジネス インターンシップ」も始めた。

 最長3カ月間、商品計画やマーケティング、IT(情報技術)、広報などの部門で業務に就く。より本格的な就業体験だ。週2日以上働き、実際に資料を作成したりチームの打ち合わせに出席したりする。日本のほか、米国や中国、フランスなど海外でも実施した。日本では35人の学生が体験。短期間の学生向けメニューでは味わえない体験を通じ、仕事についてそれぞれ考えを深めた。

 体験した学生からは「予想以上にビジネスの課題に関わることができ、様々な『気付き』を得た」との声があった。

 2つのインターンは、採用に直結している訳ではない。あくまでも、学生に就業を考えるきっかけとしてもらう。「採用直結にすると、いい顔を意識してしまう学生もいる」(山崎氏)

 ファストリ側は研修で得られた豊かな発想力や考えを求める。インターンで学び、実際にファストリで働きたいと応募する学生が出てくればありがたいとの位置付けだ。

 同社は15年より以前は、採用の選考過程で1〜2日間、学生に仕事を経験させていた。ただ、仕事について実体験から学ぶ場をつくりたいと考え、制度を整えた。「グローバル スタディ」の渡航費や宿泊費はファストリが負担する。過去2回で2千人以上ずつ応募があり、計60人が参加。「グローバル ビジネス」には630人が応募し、35人が受かった。

 今年8月末時点で海外のユニクロ店舗数は1089店。特に中国を中心にアジアでの新規出店が多く、今期中には売上高も国内ユニクロ事業を上回る見通しだ。

 柳井正会長兼社長は求める人材について「リーダーシップとフォロワーシップがあり、自分で決断しリスクを冒せる人を育成したい」と述べる。インターンで将来をにらんだ地道な種まきを続けていく。(原欣宏)

【表】就業を考えるきっかけにしてもらう

グローバル スタディ プログラム   インターン名   グローバル ビジネス インターンシップ
      大学1年から既卒まで    対象者     大学1年から既卒まで
             1週間    実施期間    最長3カ月
   約60人 (16、17年)    体験人数    35人(17年)
   海外の店舗などで研修や議論    研修内容    研究開発や広報部門などで業務

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