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三越伊勢丹、成長追わない――杉江俊彦社長、地方店の存廃、1〜2年で判断。

[ 2017年12月18日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 不採算事業の整理を急ぐ三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長に経営の展望を聞いた。

 ――11月に公表した中期経営計画はリストラ策が中心で、成長戦略が見えません。

 「成長事業はやってみなければわからないが、不採算事業の整理やコスト削減は自分たちの意思でできる。まず確実にできる部分を示した」

 ――2019年度までに営業利益350億円という目標は、前回計画の500億円と比べて見劣りします。

 「成長事業に頼らなくてもコストダウンだけで500億円程度の利益を出せる見込みはあるが、やる前から大きな数字を書いてもしょうがない。350億円は途中経過で、コスト管理をきちんとすれば難しい数字ではない。在庫削減なども進んでおり、やれることは山ほどある」

 ――伊勢丹松戸店の閉鎖を決めました。追加閉鎖を考えていますか。

 「現時点で閉店を決めている店はない。まず全ての店でコスト削減を徹底的にやる。来年3月までに地方店のトップを集めて再建策を協議する。内容によっては止めていた投資も再開する。それでも立ち直らない店はいつまでも放っておけない。1〜2年で黒字化のめどが立たなければ閉めるしかない」

 ――J・フロントリテイリングが「脱百貨店」を掲げ、高島屋もショッピングセンター(SC)運営に比重を移そうとしています。

 「百貨店の商売は立地に縛られる。うちで威張れるのは新宿、日本橋、銀座と福岡くらいだが、超一等地なら自分で商売をやったほうがもうかるに決まっている」

 「Jフロントには極上の立地が少ないので戦略として不動産に振っている。高島屋は横浜などはいいけれど、他はそうでもないので中間の戦略を採るのだろう。大阪・梅田の一等地を押さえる阪急阪神百貨店は『脱百貨店』とは言わない」

 ――SCモデルに興味はないと。

 「地方店の再生や海外事業ではある程度のノウハウは必要。手つかずでは情報も入ってこなくなる。損をしない程度のトライはする。だが郊外のSCはどんどん厳しくなっているし、物件を転貸するビジネスはこの先、立ちゆかなくなる。SCで生き残れるとは思わないし、不動産を次の柱にすることはあり得ない」

 「百貨店間の競争では新宿本店の情報発信が強みになるはずだ。仕入れ構造改革など内向きの施策が続いたことで、ここ数年は世界の最先端の商品を梅田の阪急に取られるケースもあった。新宿店はもっと外に目を向け、最新のものを世界から引っ張ってくる」

 ――大西洋前社長の拡大・改革路線を否定しようとすれば、経営が保守化しませんか。

 「どちらかと言えばおとなしいのでよく『三越出身ですよね』と言われるが、大西社長時代の経営戦略も僕が一緒に作っていた。仕入れ構造改革だって僕もやりましょうと言った。だが失敗したらそこは直さなければ」

 ――百貨店は存続できますか。

 「『生活を豊かにしたい』とか『人と違うものを着たい』という気持ちはどの時代も変わらない。夢や豊かさを売る商売として、百貨店は絶対になくならない。変わるのは売る物や売り方。既存の店にしがみつくのではなく、ネットが一等地になるならネットを頑張るだけだ」

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