日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > ゲームチェンジャー――「低生産性=日本」を変える、再構築型、JR東、VBと「無人コンビニ」。

日経の紙面から

ゲームチェンジャー――「低生産性=日本」を変える、再構築型、JR東、VBと「無人コンビニ」。

[ 2017年12月17日 / 日経ヴェリタス ]

人手不足解消へ 新技術で市場創出

 既存のビジネスの仕組みをいったん壊し、再構築して新たな需要を生み出す。改革型より一歩踏み込んだ形が「再構築型」だ。

 店側はアルバイト不足に頭を悩まされず、客もレジ前の長蛇の列をみて買い物を諦めたりしない。そんなコンビニエンスストアが近い将来、実現しそうだ。

 JR東日本(9020)が11月20日に大宮駅(さいたま市)に期間限定で出した「無人コンビニ」。客は入り口前のゲートで「Suica」などをかざして入店する。商品棚には小型カメラが設置され、商品を手にとると人工知能(AI)が自動で「購入した」と認識する。

 買うのをやめて棚に戻すと「キャンセルした」となる。レジには店員はおらず、棚から取った商品の合計額がすぐに表示される。クレジットカードや現金、ICカードで決済すれば買い物は完了だ。

 人手不足に直面する日本経済。特に運輸や小売業界は悩みが深い。問題解消に向け、JR東日本が手を組んだのが東証マザーズに上場したばかりのAIベンチャー、サインポスト(3996)だ。「食品スーパーやコンビニなどすでに約40社から声がかかっている」と蒲原寧社長は明かす。投資家の関心も高い。11月21日に上場し、翌日につけた初値は公募価格の4倍近くの8530円に跳ね上がった。12月7日にはその倍の1万6350円まで値上がりした。

 建設業界でも無人化を商機に変える動きは急ピッチで進む。鹿島(1812)は国内建設会社で初めてダンプ、ローラー、ブルドーザーの3建機を同時に無人運用することに成功。ローラーとブルドーザーは大分川ダム(大分市)の現場で実用化している。いち早く鉱山用大型ダンプなどの無人運転に成功したコマツ(6301)と手を組み、頭脳にあたるAIは鹿島が担った。大型の土木工事では建機作業員だけで300人程度必要だが、一気に3分の1以下に減ると鹿島は読む。

 人手不足に勝つだけでなく、最大コストである労務費を大幅に圧縮できれば価格競争力が格段に高まり、新たな需要も作り出せる。大和ハウス工業(1925)傘下の準大手、フジタは建機に取り付けるだけで遠隔操作が可能になる装置「ロボQ」を開発、「無人化競争」に備える。

 無人化だけではない。新たな付加価値で新市場を創る企業もある。

 薬自体が飲み忘れを警告――。11月、米食品医薬品局(FDA)が販売を承認した世界初の「デジタル薬」は逆転の発想を地で行くものだ。大塚ホールディングス(4578)傘下の大塚製薬が米企業と開発したもので、薬に埋め込んだマイクロチップが患者の胃の中の胃酸と反応し、電気信号を発信する。家族や医師がスマホのアプリで患者がちゃんと薬を飲んだかを確認できる。認知症の患者などによる飲み忘れ対策を求める声が増えており、デジタル技術の活用で新市場を切り開く。

 過去にはジンズ(3046)が開発したパソコンのブルーライトをカットするメガネ「JINS PC」は累計販売が700万本超のヒット商品となった。市場が飽和し、成長が終わったとみられた分野に対して新機能を持たせることで、従来とはまったく違ったメガネの購入動機を生み、新たな市場を創り出した。成長の限界が指摘される分野にこそ、再構築型の企業が生まれ、発展する土壌がある。

ニュースの最新記事

PAGE TOP