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ヒット商品番付、フード編――「SNS」「健康」ブーム、インスタ映え、低糖質、時短調理キット(回顧2017)

[ 2017年12月27日 / 日経MJ(流通新聞) ]

インスタ映え 奇抜なメニュー続々
低糖質 しゃり抜きすしも
時短調理キット 簡単に料理完成 共働き世帯人気

 深刻な人手不足や食材高で商品の値上げが相次いだ2017年。コンビニエンスストアや外食、メーカー各社は、低糖質商品や画像共有サイトのインスタグラムで写真映えするメニューなどを競って考案。健康需要を開拓したり、口コミでうまく集客するなど、逆風下でも新たな消費を喚起したメニューやサービスが話題を呼んだ。

 17年は一気に健康ブームに火が付いた。横綱になった「低糖質商品」は外食業界やコンビニが相次いで販売した。

 「店内でバーガーを頼んでもバンズを捨てパティだけを食べる人がいる」。ファーストキッチンはこうした来店客に着目し、8月にバンズをなくしビーフパティで野菜などを挟む「ワイルドロック」を発売。従来の主力品に比べ糖質の摂取量は約4・6グラムに抑えた。

 当初はコラボ店「ファーストキッチン・ウェンディーズ」だけの扱いだったが、人気のため18年夏には全国のファーストキッチンに広げる。

 すしに欠かせないしゃりを抜いたのは回転すし店「くら寿司」。運営するくらコーポレーションは、エビやビントロの下にダイコンの酢漬けを使ったメニューを開発し、糖質を最大9割近く抑えた。コンビニ業界でもファミリーマートはフィットネスクラブ「RIZAP(ライザップ)」が監修した低糖質のスイーツや麺を投入。累計の売り上げは約40億円に上るヒットになった。

 「インスタ映え」は外食の商品開発の合言葉にもなった。タリーズコーヒージャパンが10月に発売した「ハロウィンパンプキンラテ」はインスタ映えするようにかわいらしさを意識。3種の柄のクッキーをランダムでトッピングするなどちょっとした工夫で、昨年のハロウィーン商品に比べ販売数は3割増になった。

 若い女性の集客を狙った「インスタ鍋」も多くお目見えした。代表的なのが具材に色とりどりの果物を使った「フルーツ鍋」だ。「蕎麦カフェ&バル BWCAFE」(東京・新宿)では、カットしたリンゴや柿などを盛りつけ、そば茶ミルクで煮込む奇抜なメニューを考案。写真映えする見た目が20〜30代の女性らに受けた。

 関脇の「グローサラント」は食品スーパーとレストランを組み合わせた業態だ。成城石井の「トリエ京王調布店」(東京都調布市)は、食品売り場で販売する精肉や野菜を使った料理をそろえたレストランを併設。気に入ったメニューの食材や加工品をその場で購入できる点が好評で、12月までの来店客は想定を3倍程度上回った。

 三井物産やきちりが出資するイータリー・アジア・パシフィック(東京・渋谷)は、世界で人気のグローサラントの出店に力を入れる。8月に出した「イータリー グランスタ丸の内」はイタリア直送の生ハムやチーズを使ったピザやパスタを提供。店内で催すピザ作り体験や生産者のワークショップなども好評だ。小売りと外食の垣根を越えた売り場づくりはさらに広がるとみられる。

 小結の「デリバリーミール」は共働き世帯を中心に需要が広がった。その一つが、手軽に作れる献立キット「時短調理キット」だ。下ごしらえした野菜や肉、魚と調味料をセットにして自宅に届ける。有機野菜宅配のオイシックスドット大地では「キットオイシックス」と呼ぶミールキットの会員数が9月時点で6万人を突破し、前年同月と比べ約4割も増えた。

 飲食店に代わり料理を自宅へ届けるサービスの需要も高まった。米ウーバーテクノロジーズの「ウーバーイーツ」は16年9月の日本上陸から、飲食店の登録数は都内で1千店を超えた。6月からは日本マクドナルドがウーバーイーツと組み、注文は好調という。

 前頭も新たな需要を開拓した商品が並んだ。サントリービールの「頂〈いただき〉」はアルコール度数を一般のビールより高めにした第三のビールだ。麦芽由来のコクやアルコール度数の高さによる飲み応えとクセの少ない飲みやすさを追求。7月の発売から12月末までで220万ケース以上を販売する見通しで、17年発売のビール系飲料の新商品でトップ級の販売量とみられる。

 女性を中心に支持を集めたのがローソンとベルギーチョコレート「ゴディバ」が共同で開発したスイーツ。6月から順次、ロールケーキやプリンなど7品を販売し、12月末までの累計で1千万個超を売り上げた。特に第1弾として投入したロールケーキは価格が395円と通常品の2倍以上だったが、3週間の販売予定を2週間で終えた。

 昭和の給食の定番だったコッペパン。総菜からスイーツまで多彩な具材を挟み、人気を再燃させた。ドトール・日レスホールディングスが運営する専門店「パンの田島」は約25種類ものコッペパンをそろえ、多店舗展開を進めた。プロントコーポレーションも一部店舗に専門売り場を設けた。

 カルビーの「47都道府県ポテチ」は企画力が光った。各都道府県の自治体・企業などと47通りのポテチを共同開発した。3回に分けて実施予定で、第1弾の17品は当初見通しより5割多い計700万袋を販売。地元テレビや紙、ウェブなどへの露出はカルビー過去最大規模となった。

 カフェ業界で意外な人気となったのが、カフェインレスの「デカフェ」。健康志向の女性など幅広く支持を集めた。スターバックスコーヒージャパンは「ディカフェ スターバックス ラテ」を定番化したほか、タリーズコーヒージャパンもデカフェメニューの提供店舗を順次増やす方針だ。

 ロッテの「歯につきにくいガム 記憶力を維持するタイプ」は、イチョウ葉抽出物を配合し中高年の記憶力維持効果が見込める。12月までの売上高は当初見込みの4割増のペースで推移する。

 18年も人件費の上昇や食材高は続くとみられ、外食やコンビニ、食品メーカーを取り巻く環境は厳しさを増す。今年以上に柔軟な発想力が試される1年になりそうだ。

【表】ヒット商品番付 フード編
   商 品 名           寸  評
横綱 低糖質商品           外食やコンビニが相次いで販売。
                   しゃりの代わりに大根を使ったすしなども話題に
大関 インスタ映えメニュー      肉で形取ったケーキなどインスタを意識した見栄えは若者受けには必須の
                   要素に
関脇 グローサラント         きちりやイオンなどが外食と小売りを一緒にした業態を開発。
                   18年はさらなる広がりも
小結 デリバリーミール        宅配で時短調理キットがヒット。
                   ウーバーイーツなどと組んで強化する動きも拡大
前頭 サントリーの第三のビール「頂」 アルコール度数を一般のビールより高めにした。
                   12月末までで220万ケース以上を売るヒットに
同  ローソンのゴディバスイーツ   ゴディバと組んでチョコロールケーキなどを累計1000万個超を売った
同  コッペパン           カフェ各社が新業態や新メニューを開発。
                   低価格かつ懐かしさから学生に人気に火が付いた
同  カルビーの47都道府県ポテチ  自治体・企業などと開発した47通りのポテチ。
                   メディアへの露出はカルビー過去最大規模
同  デカフェ            カフェインレスのコーヒー。
                   カフェや飲料各社が相次いでメニュー開発してヒット
同  ロッテの歯につきにくいガム   イチョウ葉抽出物を配合、中高年の記憶力維持効果が見込める。
   記憶力を維持するタイプ     12月までの売上高は当初見込みの4割増

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