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2018年の焦点(2)アマゾンに一矢なるか――「日本ならでは」知恵絞る(ニッポンの革新力)

[ 2018年1月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 2018年、小売り・サービス市場でネットとリアル(現実)の融合が新たな段階に入る。17年は米アマゾン・ドット・コムの打つ手すべてが、日本の消費にも様々な影響を与えた。膨張を続けるアマゾン生態系に対し、日本企業は独自の強みを生かし対抗する。

 配達の時間指定はアマゾンの2時間刻みに対し1時間刻みに、すぐに調理できるキット食材も充実――。セブン&アイ・ホールディングスがアスクルと17年11月に始めた生鮮品の宅配サービス「IYフレッシュ」は、先行したアマゾンとの違いを前面に打ち出した。

 アマゾンが17年4月に日本で始めた生鮮宅配の品ぞろえは約2万に対し、セブン&アイは5千品目に絞った。欠品を極力なくし注文から配達までの時間に余裕を持たせて、時間の正確さや品質管理を武器にする。実店舗では売っていないキット食材の支持が高く、客層は簡便性を求める40歳代前後の女性で「順調な出足を切った」(同社)。

 アマゾンの膨張で、米国では17年に玩具小売大手トイザラスの破綻などが起きた。日本は小売店の大量閉店はないが、ネットと実店舗の融合が進む18年は優勝劣敗が鮮明になるだろう。

 規模や資金力で勝るアマゾンに対し、日本企業ならではの知恵で対抗する動きが出ている。

 例えばネット通販が難しいとされるファッション業界。スタートトゥデイの「ゾゾタウン」は、センサーで採寸できる全身タイツのようなスーツを無料で配りサイズの合った商品の提供に乗り出す。デジタル化が遅れていた同業界で最新技術を融合させた「ファッションテック」を進め、アマゾンの先を行く。

 世界でのフリマアプリのダウンロード数が1億件を超えたメルカリは、アマゾンの戦略と距離を置く。アマゾンなどネットの巨人と「まっとうに戦っても勝てない」(山田進太郎会長)。自転車シェア、語学などを個人間で教え合うスキルシェアといった「CtoC(個人間取引)」で事業領域を広げる。

 アマゾンが本格進出していない分野にいち早く進出し、特定の分野でプラットフォーマー(事業基盤提供者)の地位を築けるか。日本企業に残された時間は少ない。

(篤田聡志、花田亮輔)

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