日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > キャッシュレス、普及の兆し、人手不足補完、導入コストが壁(金融取材メモ)

日経の紙面から

キャッシュレス、普及の兆し、人手不足補完、導入コストが壁(金融取材メモ)

[ 2018年1月17日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 「当店はキャッシュレスのためお支払いはクレジットカードか電子マネーでお願いしています。よろしいでしょうか」。店に入ると店員がこう話しかけてくる飲食店「GATHERING TABLE PANTRY」が2017年11月、東京都中央区にオープンした。

 客は店員から受け取ったタブレット端末「iPad」で注文。食事が終わると会計ボタンを押し、店員が持ってきた決済用機器に「Suica(スイカ)」など電子カードをかざせば支払い終了だ。

 レジで現金のやり取りをするより時間や手間が省け、店舗・客の両方にとって利点は大きい。運営するロイヤルホールディングス(HD)は「少子高齢化による人材不足に対応する」と狙いを話す。

 すかいらーくも17年1月から客が自分で会計できる無人レジを導入し始め、今は「ガスト」や「ジョナサン」など首都圏の23店舗で対応する。小売業界でもローソンが18年度春以降に深夜レジを無人化してスマートフォンのアプリで決済できるようにするなどキャッシュレス化は次第に進んできた。

 海外と比べると動きは遅い。経済産業省によると日本の現金以外での決済比率は18%。50%を超す英国、カナダなどを下回るだけでなく韓国(89%)、中国(60%)といった近隣の国々との差が著しい。訪日客からの「現金しか使えない」との不満の声はよく聞く。

 政府は20年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、全ての主要な商業施設や観光地でクレジットカードや電子マネーで支払えるようにする目標を掲げる。普及に向けた課題は導入コストだ。

 決済端末の導入には数万〜数十万円かかるほか、月々のリース料も必要。加えて店舗はクレジットカード決済の度に売上高の数%程度の手数料をカード会社に支払わなければならない。政府は端末の導入費補助などで普及を図るが、地方を中心にまだ動きは鈍い。

 一方、ベンチャー企業などの間では、QRコードによる簡易な決済方法の開発も進んでいる。導入コストは今後、一段と下がる見通しだ。労働力不足の要因も相まって、キャッシュレス化は急速に進む可能性がある。(古賀雄大)

ニュースの最新記事

PAGE TOP