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はるやまHD、働き方改革奏功、ノー残業手当で人材確保、一律月1万5000円、時間15%削減。

[ 2018年1月17日 / 日経産業新聞 ]

 紳士服大手のはるやまホールディングス(HD)が残業時間削減の取り組みで成果を上げている。残業をしなかった社員に手当を支給する「ノー残業手当」が奏功し、残業時間の15%削減を達成した。「社員の働きやすさにもつながる」と評価され、人手不足が深刻な流通業において人材獲得という副次効果も表れている。

 1月中旬の午後9時半すぎ。はるやまHDが手掛ける紳士服チェーン「P・S・FA(パーフェクトスーツファクトリー)」の池袋本店(東京都豊島区)。閉店時間の9時を過ぎても買い物を続けていた最後の客が店員に見送られ、店はその日の営業を終えた。

 照明を少し落とした店内では、店員らがてきぱきと接客用タブレット端末を片付けたり、小走りでワイシャツを補充したりしている。まもなく店内の電気が完全に消え、店員らが店を後にした。

 同店は、はるやまHDが手掛ける約530店のうち常に売り上げが上位に入る旗艦店だ。1月は紳士服店の繁忙期だが、週末にもかかわらず、最後の客が店を出た後、わずか30分程で照明がすべて落とされていた。

 はるやまHDは17年4月、月間の残業時間がゼロの社員に一律1万5000円を支払う制度「ノー残業手当」を始めた。残業をしない社員が得をするというこの制度。「社員の残業に対する意識改革につなげる狙いがある」と同社の竹内愛二朗執行役員は説明する。

 社員にとっては、残業を減らせば時間にゆとりができる一方、給料が減るというマイナス面もある。「それなら残業のない社員に手当を支給する制度を始めようと考えた」(竹内氏)という。

 ノー残業手当は、スーツ店「はるやま」や「P・S・FA」などで働く販売員を中心に、経理や商品開発などを担う正社員が支給の対象だ。

 ノー残業手当を導入した17年上期(4〜9月)の月間の平均残業時間は8・9時間。導入前の10・4時間に比べて約15%も減った。

 はるやまHDはもともと残業時間削減に意欲的に取り組んでおり、小売業の中でも残業時間は多くないというが、効果はてきめんだった。10月以降の残業時間も同様の傾向が続いており、「通期で減らせる見込み」(竹内氏)という。

 残業代が月1万5000円を超えた場合は、その分は残業代として支払うことになっている。そのため社員の不利益にはならない。

 新制度の導入に伴い同社は人件費が年間約1億円増える見込みだが、社員の生産性向上によりカバーできると見ている。残業時間が減った一方で店の売り上げは伸びており、上期の1人当たりの売り上げは前年同期比で3・2%増えた。

 はるやま五反田店で働く30代の社員は「仕事を早く上がれるので、ジムなど趣味に時間を使えてうれしい」と話す。

 竹内氏は「社員の間で、残業をせずに帰ろうという意識が高まっている」と手ごたえを感じている。

 残業時間の削減は、人材採用にもつながっているという。「今期は中途採用の応募数が約4倍になり、3カ月程度で予定の人員を採用できた」というのだ。19年4月入社の新卒採用も、説明会の回数を4割減らしたが、「応募者数の増加により予定の採用数に達する見込み」という。

 慢性的に人手が不足する流通業において、いかに人材を確保できるかは今後の企業の成長を大きく左右する。竹内氏は「今後魅力ある職場づくりをするために様々な制度を導入していきたい」と意気込む。(鈴木慶太)

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