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ITジャーナリスト、コンサルタント林信行――ファッションテック開花(SmartTimes)

[ 2018年1月15日 / 日経産業新聞 ]

 2018年はデジタルテクノロジーを使った採寸の手法によって、ファッション業界が大きく揺れ動きそうだ。

 ファッション業界では「ファッションテック」と呼ばれる動きが4、5年前から話題になっていた。ファッションテックは「ファンション」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語で、テクノロジーによってファッション業界を改革する試みを指す。

 こうした取り組みが一般消費者にも知られるようになったきっかけが17年11月に起きた。ファッション分野の電子商取引(EC)サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが、センサーを使って自分の体形を計測できる「ゾゾスーツ」を無料で配布すると発表したのだ。

 ゾゾスーツはセンサーが編みこまれた伸縮性の高い素材でできた肌着だ。着用すると伸縮センサーが袖や胴回りの伸び率を計測してスマートフォン(スマホ)上のアプリに自分の体形の情報を転送する。

 米国では、すでにライクアグローヴというスタートアップ企業がゾゾスーツと同様の機能を持ったレギンスを80ドルで販売して大きな話題となっている。

 ファッション分野のECでは、サイズの不一致による返品リスクが問題になっていた。だが、ゾゾスーツやライクアグローヴのレギンスは、そのリスクを減らしてくれる。

 実は採寸系のサービスは他にもある。

 スウェーデンのスタートアップ企業、バーチャサイズがネットを通じて提供する試着サービスがそれだ。同社は人によって微妙に異なる「フィット感」に重きを置いている。

 バーチャサイズでは、自分のサイズを計測するのではなく、手持ちの服の中で気に入っている服やフィットしている服のサイズを入力する。お気に入りの服のサイズを基準にして、これから購入しようとしている服がどの程度、サイズがずれているのかを示してくれる。そのずれを調整できれば、自分にフィットした服、つまり着心地の良い服になるというわけだ。

 センサーよりも正確にフィット感を指し示せることが最大の特徴で、人気を呼ぶ理由にもなっている。ユナイテッドアローズやアーバンリサーチなど、ブランドの壁を越えて大手アパレルの店舗やECサイトに導入されている。返品率のダウンと顧客満足度の向上に大きく貢献している。

 海外の百貨店では、3D(3次元)スキャナーを設置して採寸するサービスも登場している。スマホに自分の分身(アバター)を表示させ、その上でコーディネートなどを確かめてオーダーできるといった使い方も可能になりそうだ。

 一度、正確な採寸ができれば、それがファッション商品のシェア(共有)やレコメンドといった次の潮流の足がかりにもなる。

 最新の技術が生活や文化に与える影響を25年以上にわたり取材。マイクロソフトやグーグルのサイトで連載を執筆した他、海外メディアに日本の技術文化を紹介している。東京都出身。

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