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ビットコインバブル(2)含み益はバーチャル(迫真)

[ 2018年1月23日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 「前から欲しかった車が買えた」。東京都内のすし店に勤める男性(51)は2018年1月にビットコイン払いで約300万円のメルセデス・ベンツを買った。海外で働いていた15年に日本への送金目的でビットコインを30万円分購入。イーサリアムなど買い足した他の通貨も値上がりし、昨年末に資産額が1億円を超えた。「将来性を見越して保有しておいてよかった」

 買った店はIDOM(旧ガリバーインターナショナル)の輸入中古車販売店「リベラーラ世田谷」(東京・世田谷)。「ビットコインが使えたら今すぐ買うのに」。こんな顧客の声をきっかけに昨年12月から全国24店舗で1億円まで決済できるようにした。店長の嶋田裕樹(33)は「月約40件の問い合わせがあり、需要は大きい」と話す。

 昨年末のビットコイン価格の高騰で多くの個人が利益を手にし、高額消費に波及している。昨年末に会計1回のビットコインの利用上限を従来の3倍の30万円に引き上げたビックカメラでは、冷蔵庫や洗濯機など大型家電の販売が目に見えて増加。利用総額は「Suica(スイカ)」など電子マネーの一角に並ぶ規模にまで膨らんできた。

 不動産ベンチャーのイタンジ(東京・港)は10日からビットコインで中古マンションなどを買えるようにした。反響は大きく1週間で100件の問い合わせが来た。取締役の横沢佑輔(34)は「値動きが激しいビットコインを不動産に替え安定利回りを得たい人が多い」とみる。

 ビットコイン高騰時の消費波及効果は最大960億円――。野村証券はこうソロバンをはじく。居酒屋チェーンのワタミの年間売上高と同額だ。

 ただパソコン画面に表示される大きな金額を前に戸惑う人が多いのも事実。払う税金も膨らみ、荒い値動きの中でいつ利益を確定するかの判断も難しい。

 仮想通貨が急落した17日、都内に住む児山将(30)は1400万円あった口座で約150万円の損失を出した。「含み益はバーチャルな数字。利益が膨らんでも浮かれるわけにはいかない」。児山はこう言いながら普段通りの質素な生活を続ける。

 ビットコイン決済を導入する「焼肉にくがとう」(東京・中央)。決済利用者は週に1人いるかどうかだ。店長の平川達朗(29)は「少額決済では利用が進んでいない」とこぼす。派手な値動きに注目が集まる一方、「通貨」の役割からは遠ざかっているようにみえる。(敬称略)

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