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IIJ、金融事業に参入――育つか仮想通貨の支柱、「出遅れ日本」鈴木氏の焦燥(eBizナビ)

[ 2018年1月31日 / 日経産業新聞 ]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は金融機関や家電量販店などと組み、金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックビジネスに参入する。仮想通貨や電子マネーを簡単に交換、チャージできる仕組みを整備する。電子決済サービスの普及の遅れが、インターネット接続事業を主力とする同社を異分野への挑戦へと動かした。

 IIJは25日、金融サービス事業に参入すると発表した。デジタル通貨の決済・取引サービスを提供するディーカレット(東京・千代田)を設立し、35%を出資した。ほかに三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行、JR東日本、ビックカメラ、日本生命保険、伊藤忠商事などの約20社がディーカレットの株主として名を連ねた。

 同日に東京都内で会見したIIJの鈴木幸一会長は「(ネットサービスを提供する)当社が率先してもやらなくてもよかった」と述べながらも、「日本を代表する企業に声をかけたのだから、日本の(金融サービスの)インフラにする」と強く訴えた。

 ディーカレットは2018年度後半にもサービスを始める。ネット上に「ウォレット」と呼ぶ口座を開設すると、ビットコインを代表とする仮想通貨などデジタル通貨の取引・決済サービスを利用できるようにする。

 例えば、JR東日本の電子マネー「Suica(スイカ)」を導入している小売店で商品を購入した場合、利用者はスイカを持っていなくても、ウォレットで管理する仮想通貨をスイカに交換して支払える。仮想通貨でスイカにチャージすることも可能になる。

 「IIJは通貨の交換レートを自動で提供するシステムを持っており、ディーカレットのサービスに組み込む」と、金融システム事業部の葉山揚介氏は話す。仮想通貨の交換レートは取引所によって異なる。利用者は最も有利なレートを選択できるという。

 ディーカレットは外国為替証拠金(FX)取引と同じく、デジタル通貨の売値と買値に差(スプレッド)を設け、スプレッドを手数料として受けとって収入源とする。手数料はクレジットカードよりも低く設定する。そのため個人だけでなく、法人の利用も見込む。22年度をメドに会員500万人、売上高100億円を目指す。

 海外では現金以外の電子決済サービスがすでに浸透している。中国のネット通販最大手、アリババ集団グループの電子決済サービス「アリペイ(支付宝)」は代金の支払いだけでなく、利用者の信用力を試算したり、短時間で融資したりするサービスも提供する。

 鈴木会長は「アリペイをはじめとして国際的に(電子決済サービスの)プラットフォームが広がっている」と指摘。そのうえでIIJが金融サービス事業に参入する理由を「日本でも早く基盤をつくる必要があるから」と述べ、日本の出遅れに対する危機感を示す。

 現在のビジネスは「データ資本主義」といわれるほど、データの収集・分析が欠かせなくなっている。日本が現金以外の決済サービスでさらに後れを取ってしまえば、金融サービスに散らばる膨大なデータをとらえられないままとなる。

 ディーカレットは蓄積したデータを使った家計簿サービスの提供も計画している。幅広い業界の大手企業を巻きこんだIIJの取り組みは、スタートアップ企業が主導する日本のフィンテックビジネスの大きなうねりとなりそうだ。(大西綾)

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