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環境経営度調査からデータ解読(5)食品ロス、流通各社が削減――商習慣の見直しやビッグデータ分析。

[ 2018年1月30日 / 日経産業新聞 ]

 日本国民が毎日、茶わん1杯分のご飯を捨てる量に相当――。本来食べられるにもかかわらず廃棄される国内の「食品ロス」の量を表す表現だ。年間で600万トンに及ぶ。この廃棄量を減らすため食品を扱う流通各社は対策を進めている。第21回環境経営度調査では、食品廃棄物を減らす取り組みを尋ねた。

 食品業界では製造日から賞味期限までの期間のうち、3分の1の期間が経過する前に食品を小売店に納品しなければならない「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣がある。調査では流通業の39・4%が食品ロス対策としてこのルールを見直すと回答した。

 3分の1期間が過ぎた食品は、低価格品として通常の商流以外で販売されることもあるが、ブランド価値低下を避けるため廃棄されることも多い。このため食品ロスの温床とされてきた。

 セブン―イレブン・ジャパンは14年から全店で飲料や菓子の一部の納品期限を「2分の1以内」に緩和した。例えば賞味期限が180日の場合、卸売業者はそれまで製造日から60日以内に小売店に納品する必要があったが、90日まで延びた。

 イオングループでは3分の1ルールの変更のほか、18年度からは販売するプライベートブランドの一部商品で賞味期限の表記を見直す。「年月日」で表していた3商品の期限を「年月」までの表記とする。

 「賞味期限が数カ月先の食品であっても、消費者は1日でも賞味期限が先の製品を好む傾向がある」と同社広報は指摘する。期限を年月表記にすれば、こうした消費者の敬遠心理を防ぐ効果がある。商品管理の簡略化も狙える。今後は対象食品の成分を確認し、同様の年月表記のラインアップを増やす。

 また、8割の企業は「需要を正確に予測し生産量を最適化している」と回答した。需要予測の手法については回答を求めていないが、ビッグデータ分析を活用した取り組みもある。経済産業省と日本気象協会は、ローソンや食品メーカーなどと組み、気象予報に基づいて食品の売れ行きを予測する実験を16年度まで3年間にわたり実施した。

 過去の気温や温度別の商品の売れ行きを記録したビッグデータを基に数日後の需要を予測し、生産量を調整する。最終報告では、小売業の発注を1日早めることで食品メーカーが「見込み生産」から「受注生産」に切り替える効果が期待できるとまとめた。

 どうしても生じる食品廃棄物を有効活用する企業も現れている。JR東日本はグループの駅内外で発生する食品廃棄物からバイオガスを取り出して発電する取り組みを18年度にも始める。駅内の食品廃棄物は脂分や塩分、包装の混入が多く、飼料化や肥料化による再利用が限られていた。

 国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」では、30年までに食品廃棄量の半減を目標とする。今後も慣例の見直しやデータ分析による効率化が進みそうだ。

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