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春節の訪日客狙い当たった!、百貨店、ネット販促に成果、ライブ配信で店に送客。

[ 2018年3月5日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 百貨店が訪日客を呼び込むために始めたインターネット上での販売促進が一定の成果を上げ始めている。2月の春節(旧正月)をめがけた対応があたり、若い世代を中心に集客効果が上がった。百貨店はネット対応が遅れてきたが、中国の消費者は日本よりもスマートフォン(スマホ)を使った購買に慣れている。好調な免税売上高を維持するため、重い腰を上げた。

 「かわいいチョコがこんなにたくさん」「行って実際に見てみたい」――。1月下旬、ネット上で中国語のコメントがあふれたのは、あべのハルカス近鉄本店が配信したライブ動画のページだ。

 同店では年初以降、春節をにらんでバレンタイン商戦の様子をライブ配信した。中国では男性が女性に花を贈るのが一般的で、見た目が華やかなチョコがずらりと並ぶさまは新鮮だったようだ。実際に、「これまでバレンタイン売り場にあまり居なかった訪日客の姿が、今年は多数見られた」(近鉄百貨店広報)といい、送客につながったもようだ。

 今、中国人が多く観光に訪れる大阪の百貨店では、消費者をいかに呼び込むかが重要課題となっている。日銀大阪支店によると2017年の関西の免税売上高は978億円で前年比75%増となった。これをさらに伸ばそうと、ネット上での販売促進に力を注ぐ。

 「中国のライブ配信の人気は日本とは比べものにならなく、紹介した商品が目に見えて売り上げが伸びる」(近鉄百貨店の松本守弘販売推進部長)。国内向けではネット対応が進んでいるとは言い難い百貨店業界だが、実際の送客効果を目の当たりにしてネット対応を加速度的に強めている。

 阪急阪神百貨店は2月、中国でネット上の影響力が大きいインフルエンサーを誘致して、阪急うめだ本店で買い物のライブ配信をした。化粧品売り場やショーウインドーの様子を紹介したところ、再生数は累計1500万回を超えた。若いスマホ世代の誘客につながり、春節期間の免税売上高は昨年より2割増えた。

 高島屋大阪店は2月からアクセサリー売り場などにスマホ決済を導入。ライブ配信も始めた。

 伊勢丹新宿本店(東京・新宿)では通話アプリ「微信」(ウィーチャット)の利用者向けに、QRコードを通じて店内のアパレルブランドの商品情報を発信した。多くの訪日客が使い、集客に貢献したという。サービスは春節期間のみを想定していたが、販売増につながっていることから現在も継続している。

 中国向けで味をしめた各社は東南アジア向けにもネット販売促進を始めた。阪急阪神百貨店はタイやマレーシア、ベトナムへSNS(交流サイト)を使う情報発信を始めた。近鉄百貨店も今年からベトナムやフィリピンの旅行会社と連携する。

 訪日客消費をきっかけとして、百貨店のネットマーケティング戦略が遅まきながらも大きく転換する可能性が出てきた。(荒尾智洋)

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