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日経の紙面から

第2部eリテール特集――実店舗超えるファッション体験、仮想試着・メーク仕上がりリアル、全身採寸「ゾゾスーツ」。

[ 2018年3月5日 / 日経MJ(流通新聞) 第2部 ]

「自分に合う服作る」発想

 インターネット通販の広がりとともに、購買をより便利にするサービスが続々と登場している。試着ができない問題を解消するために、自分の体のデータをもとに最適なサイズを提案してくれたり、化粧の仕上がり具合をバーチャルで確認したり。購入前に試せない、というネット通販特有の課題を克服できれば、ネット通販が実店舗を超える購買体験も可能になる。

 2017年11月、ファッション業界に激震が走った。衣料品通販サイトで国内大手「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイが、着るだけで全身のサイズを測れるボディースーツ「ゾゾスーツ」を発表したからだ。

 気になる服を取り寄せて試し、着心地が悪かったら段ボール箱に詰め直して返品する――。ネット通販によくある光景。消費者の手間がかかるだけでなく、通販業者にとっても返品作業はコスト増に直結する。この不毛な作業を根本的に見直そう、というのが「ゾゾタウン」の新サービスだ。

 黒いボディースーツに張り巡らせたセンサーが生地の伸び具合を検出し、全身1万5000カ所を瞬時に計測する。計測データはスマートフォン(スマホ)上のアプリに転送され、以降はゾゾタウンでの買い物は計測データが反映される。

 1月末からはスタートトゥデイが立ち上げたプライベートブランド(PB)「ゾゾ」で、一人ひとり体形に合わせたジーンズやTシャツなどの洋服を受注生産する。「似合う服を探す」のではなく、「自分に合う服をつくる」。従来のファッション業界を覆すアイデアに共感した人は多く、世界160カ国でPBに使うゾゾスーツの無料配布の予約を受け付けたところ、わずか10時間で23万件以上の注文が入った。

 ただ、実際のPB立ち上げには生産や物流面も含め曲折もあるもよう。当面はアパレル各社が供給する既製服を最適に提案するサービスが主体となりそうだ。

 ゾゾタウンのサイト内には新たな機能「自分サイズ検索」を追加した。ゾゾスーツの体形データと商品の実寸データをもとに、自分に合ったサイズの商品だけを検索できる。ブランド名にとらわれず、「サイト内に埋もれて見つけられなかった商品やブランドに出合えるようになる」(スタートトゥデイ)。

 また、服選び自体がおっくうな人向けに、2月中旬からは「おまかせ定期便」をスタートした。体形データに加え、個人の嗜好や予算に応じてゾゾタウンの販売員が服をコーディネートし、定期的に5〜10点を送る。

 消費者は気に入ったものだけを購入し、不要なものは送り返せる。実店舗では忙しい店員を捕まえて全身をコーディネートしてもらうには30分〜1時間程度かかる。だが配送であれば隙間時間に家で試着すれば済む。販売員のコーディネート提案がフィットすれば、店に出向かずにネットで服を買う行為が完結する可能性がある。

 ただ、サービスの肝となるゾゾスーツは当初17年11月下旬に発送を始めるとしていたが、2カ月遅れでようやく配送開始。しかも11月後半に注文した人でさえ届くまで最大6カ月、それ以降の人は最大8カ月かかる可能性があるという。全く新しいサービスだけに、軌道に乗るまでにはしばらくかかる見通しだ。

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