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敵はイオンと過信、セブン&アイ・イズミ提携の真相――セブン&アイ、緩やかな連合で変化対応。

[ 2018年4月8日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 「100年に一度と言われる変化のなか、我々だけの知見だけでは対応しきれない」。井阪隆一社長は記者会見でイズミをはじめ外部提携を進める理由をこう話した。

 今回組む広島県地盤のイズミは「西日本の雄」(伊藤順朗取締役)。首都圏が地盤のイトーヨーカ堂とは地理的な競合が少なく、イズミの売り場作りのノウハウを学ぶ。セブンのグループのPB「セブンプレミアム」をイズミに供給することも検討する。電子マネーの相互利用も始め、中四国や九州地方のセブンイレブンとイズミのスーパーで送客効果を狙う。

 セブン&アイは2016年5月に発足した井阪体制のもと、外部連携を進める。17年7月にアスクルと共同でネットスーパーを立ち上げると発表。3月には小田急グループとの業務提携も発表した。

 一連の提携はいずれも出資を伴わない。支配関係になりやすい資本提携ではなく対等な立場に立った提携を軸に、ゆるやかな連合体をまず作り、外部のノウハウを吸収しスーパーのテコ入れやコンビニエンスストアへの送客につなげる。

 消費者との接点を増やすという狙いもある。セブン&アイは18年2月期に7期連続で営業最高益を更新するなど業績は好調だ。そのなかで矢継ぎ早に提携を進める背景には消費の変化スピードが速くなっていることへの危機感がある。井阪社長は「お客様がどんどん先に行ってしまい、追いつくには外部と連携して満足度を高めないといけない」と強調する。

 消費の変化の象徴がネット勢の伸長だ。顧客ごとに購買動向を分析し、個別にお薦めの商品を提案する。こうした一人ひとりの嗜好をターゲットとした販売促進を展開するネット勢に対し、コンビニはじめ既存の小売店は来店客全体の支持率が高い商品を品ぞろえするため、個人の細かい嗜好までは十分にカバーできていない。

 個人の嗜好にまで踏み込もうと、セブン&アイは6月からセブンイレブンやヨーカ堂でスマホアプリの配信を始める。アプリを通じて実店舗での購買動向を収集し、好みに合うグループ内の店舗や提携関係にある企業への送客につなげていく考えだ。顧客データが蓄積してきた段階で、データ分析や活用を目的とした外部連携も模索する。

 井阪社長は「同じ理念を共有できる企業と手を組んでいきたい」と今後も外部提携に意欲を示す。だが「組むのは簡単だが、離れるのは難しい。データを共有してしまうとなおさらだ」(小売り大手幹部)といった指摘もある。

 セブン&アイが進めるゆるやかな連合体作りも、現時点では明確な完成形はみえていない。一日でも早くその輪郭を描き上げ、一つ一つの提携で結果を出すことが、消費者の変化のスピードに追いつくためには欠かせない。

(今井拓也)

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