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コンビニ大手、収益踊り場、人手不足が重荷、IT・省力化投資で成長持続へ。

[ 2018年4月15日 / 日経ヴェリタス ]

 小売りの勝ち組とされたコンビニエンスストアの収益が踊り場を迎えている。セブン&アイ・ホールディングス(3382)など大手3社の2018年2月期連結決算が出そろい、国内コンビニ事業は2社が営業減益だった。背景にあるのはアルバイトやパートなど店舗の人手不足で、それに対応する省力化やIT(情報技術)投資の負担が重荷となった。成長持続へ各社とも対応を加速するため19年2月期も収益鈍化が鮮明となる。

 「日本が直面する一番大きな問題は就業者数の減少だ。サプライチェーン全体で生産性向上を図りたい」。5日の記者会見の席上、セブン&アイの井阪隆一社長は深刻な表情で語った。

 傘下のセブン―イレブン・ジャパンは前期の営業利益が0.3%増にとどまった。重いのは経営指導料の1%減額だ。人手不足や人件費増に悩む加盟店を支援するためで、前下期と今上期に80億円ずつ収益を圧迫する。このため今期営業利益も1%増にとどまる見通し。

 セブンは今期から商品の補充や清掃が簡単にできるスライド式陳列棚の導入も進める。また店舗の競争力を高めるため、6月からスマートフォンアプリの運用も始める。購入に応じた特典を付与し、顧客の好みに合わせた商品情報を提案し、囲い込む狙いだ。

 最も逆風が吹くのがローソン(2651)だ。今期の営業利益は単独で11%減の510億円と2年連続の減益を見込む。連結でも同様で「加盟店の生産性をあげる」(竹増貞信社長)ためのシステム投資が重荷となる。

 今期は経験の浅い従業員でも使いこなせるよう、自動で釣り銭を出す機能が付いた新型レジを全店に設置する。弁当の廃棄損失の一部を本部で肩代わりする費用や、銀行業の準備費用も重くのしかかってくる。

 唯一今期に2ケタ増益となりそうなのがユニー・ファミリーマートホールディングス(8028)傘下のファミリーマートだ。今期の単独営業利益は27%増の435億円を見込む。

 ユニファミマは旧ユニー系だった「サークルK」や「サンクス」をファミマに一本化するための店舗転換を進めている。今年11月末までに全5000店を終える予定で、前期末までに8割弱を済ませた。転換店舗は売り上げが1割増加するため、今期からは増収効果が看板替えなどの費用を上回る形だ。

 ファミマもスライド式の棚や大容量の店内調理機導入などを柱に既存店に対する投資を前期の倍増の600億円超とする。ユニファミマの高柳浩二社長は「前期は統合作業に追われた分、今期は既存店の磨き上げに力を入れたい」と話した。

 決算発表から翌日までの株価は二極化した。セブン&アイは総合スーパーの業績改善期待から3%高となり、ユニファミマもコンビニの増益転換が評価されて2%高だった。半面、ローソンは5%安と4年ぶりの安値に沈んだ。

 アナリストの間ではやはりローソンに対する見方が厳しく、JPモルガン証券の村田大郎氏は「ここまで大きな減益予算は想定外」と指摘した。ファミマの今期のように、成長投資などに費用がかかっても他の要因で補えないと、市場の評価は付いてこないようだ。(野口和弘)

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