日経メッセ > リテールテックJAPAN > ニュース > リユース市場、勃興、目覚める7.6兆円、便利さ、価値を創出。

日経の紙面から

リユース市場、勃興、目覚める7.6兆円、便利さ、価値を創出。

[ 2018年4月14日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 中古品の価値が上がっている。フリーマーケットアプリの登場で価格が付かないはずの品に価値が認められ、中古品市場での顧客やアイテムの争奪戦が激しくなった。ネットを介する個人間売買の利便性が高まり、リユース業者も以前より高い値段で買い取りに力を入れる。高値で再販売することが前提となり、新品を含めた市場を広げる可能性も指摘されている。

●個人間拡大

 フリマアプリ「メルカリ」で最近「ユニクロ」の中古衣料の出品が目立つようになった。税別990円の子ども用のTシャツは畳みじわや数カ所の汚れがあるにもかかわらず444円で売れた。汚れがある無地のシャツが千円と新品に近い額で決まる取引もあった。

 実店舗のコメ兵では20年近く前の定価65万円の高級時計「ロレックス」の買い取りが200万円になるケースもある。日用品から希少性の高い高級品まで、中古の価値は確実に上がっている。

 中古品は長く市場とみられず統計がほとんど存在しなかった。経済産業省が中古品の調査に乗り出したのは昨年だ。それによると2016年のネット経由の個人間取引(車・バイクなど除く)はフリマアプリが3052億円、「ヤフオク」など個人間競売が3458億円で計約6500億円。事業者による中古品のネット販売の約2300億円を単純に加えるとネット全体の中古品の流通は約8800億円。店舗販売の約1兆円に迫る。

 経産省はこれとは別に過去1年間に使わなくなった製品の価値が7兆6千億円に上ると推定している。一方、環境省の別の調査では過去1年間に中古品を売買した人は2割。これらを勘案すると2兆円近い取引が既にあり、市場を広げる潜在的なお宝が家庭に無数に眠っていることがわかる。

 中古品市場を大きく変えたのが13年にサービスを始めたメルカリ(東京・港)だ。フリマアプリの一覧性の高さは中古の流通性を一変させた。バザーやリユース店で目当ての品を見つけるのは困難だがネットならブランドや価格帯、汚れの度合いを指定して簡単に探せる。身の回りのものが換金可能な資産になり出品数も急増。メルカリでは1日に約100万点が出品され中古品を取り巻く環境は劇的に変わった。

●新品にも風

 便利さは消費者の意識を変え、さらに価値を引き上げたと中古業界は分析する。いずれ売ることを前提に新品を購入する消費者が増えたため。メルカリの小泉文明社長は「1万円の商品も5千円で売れると考えるので5千円で買った感覚」と話す。新品購入のハードルが下がり都内の20代の女性は「中古相場を見てから新品を買う」という。

 今月2日、アパレル大手のワールドは古着衣料のスタートアップ企業を買収したと発表した。中古品が市場として無視できないことにメーカーが気付いた証左でもある。

 これまで再販して価値が残る前提でビジネスモデルを組み立ててきたのは自動車業界などに限られる。中古で十分な値段が付くから新車が売れるとメーカーは考え、消費者は車を資産として家計に組み込んだ。

 こうした業界は例外で中古は新品市場を侵食するというのが通念だった。だが慶大大学院の山本晶准教授は割安な中古品は製品購入のハードルを下げ市場拡大に好影響を与えうるとみる。「気に入れば次は新品という流れができれば中古品の流通が新品市場への追い風になるかもしれない」

 流通業に破壊的な変革を迫るアマゾンジャパン(東京・目黒)も中古品に目を付けた。中古販売店にネットの売り場を提供するだけではない。「アマゾンギフト券」を代価に提携企業を通じて中古品を買い取っている。

 衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイも古着を下取りして新品を実質値引きするサービスを提供する。アマゾンもゾゾも買い取った品は流通させる一方、買い替えと新品購入をひも付けている。

 中古を買う消費者を新品に誘導しようとする動きは今後も増えそうだ。転売に価値が認められればより高価なものに手が届くようになる。リユースの広がりは消費を活性化させる可能性を秘めている。(沖永翔也)

ニュースの最新記事

PAGE TOP