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小売業モデル変革、海外・ネットで再成長、大手20社の7割、今年度最高益。

[ 2018年4月13日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 小売業が事業モデルの革新を進めている。海外展開を積極化してアジアなどの旺盛な消費を取り込む一方、電子商取引(EC)も強化。2018年度はセブン&アイ・ホールディングスやファーストリテイリングなど、時価総額上位20社のうち14社の純利益が過去最高となりそうだ。国内市場に依存する古い体質から抜け出し、成長を再加速させている。

 ■ユニクロ「アジアの時代」 12日までに58社の小売企業が18年2月期決算を発表し、純利益合計額は前の期比で25%増えた。

 「ようやくアジアの時代が来た。世界中で商品が受け入れられると実感している」。ファストリの柳井正会長兼社長は12日の会見で述べた。同日発表した17年9月〜18年2月期連結決算(国際会計基準)ではユニクロ部門の海外の事業利益が62%増の808億円と急拡大し、国内(28%増の888億円)に迫った。

 アジア事業の強化が奏功し、中国で機能性肌着「ヒートテック」などが伸びている。18年8月期は連結純利益が1300億円と9%増え、2期連続で過去最高を更新する見通しだ。

 「無印良品」を手掛ける良品計画は海外の店舗数が18年2月期末で457と国内(419)を上回った。海外の利益は4年で4倍に膨らみ、前期は営業利益の4割を占めた。「シンプルでも機能性にこだわった商品が世界の消費者から支持を集めている」(松崎暁社長)とし、今期は4期連続の最高益を見込む。

 セブン&アイは今期、2期連続の最高益を想定。M&A(合併・買収)で米国事業を増強し、コンビニエンスストア「セブン―イレブン」は国内の約2万店に対し、北米は約1万店にのぼる。「北米市場は成長性が高く大きなチャンスがある」と井阪隆一社長は語る。

 ■「ゾゾ」年720万人集客 ECでは特定分野で「一人勝ち」の企業が鮮明になってきた。アパレル通販サイト「ゾゾタウン」を手掛けるスタートトゥデイは昨年の年間購入者数が720万人と3年で倍増した。工具通販ではモノタロウの伸びが目立つ。1500万点を超える商品を小口でも迅速に届け、利用増が続く。

 大手もEC強化を急ぐ。セブン&アイはEC売上高が前期に11%増え、1087億円と1000億円台に乗せた。スマートフォン向けの会員制アプリの運用もスタートしている。イオンは21年2月期にEC売上高を1兆2千億円規模まで拡大する経営目標を掲げ、11日には米国のネット通販企業への出資を発表した。

 自ら商品を企画・製造する「製造小売業(SPA)」モデルはもはや当たり前だ。家具大手のニトリホールディングスはアジアに自社工場や物流拠点を抱え、商品の9割を輸入して販売する。「最近は本来なら20万円はするベッドマットレスを7万9千円で販売できるように開発している」と似鳥昭雄会長は明かす。

 かつての小売業は商品を仕入れて売るだけで、店舗数の増加をテコに業績を押し上げる単純な事業モデルだった。景気変動の影響も受けやすかった。デフレ長期化を受けて停滞期が続いたが、逆境をバネに進めた収益構造の変革が好業績につながっている。

【表】最高益の主な小売企業   
企業名(一部略称)   純利益(億円)   好業績の背景 

海外展開が拡大   
セブン&アイ      2,100(16) 海外コンビニのM&A(合併・買収)が収益貢献 
良品計画          333(11) 利益の4割を海外で稼ぐ。中国ではホテルも開業 

ネット通販で成功   
スタートトゥデイ      270(22) アパレル通販で圧倒。年間購入者数は720万人 
モノタロウ         100(19) 工具通販最大手。取り扱いアイテム数は1500万超 

自社で商品の製造も   
ファーストリテイリング 1,300(9)  顧客データを基に商品を作る「情報製造小売業」を掲げる。
                      海外事業も拡大 
ニトリHD         680(6)  ベトナムで新工場が稼働。中国で物流施設も建設中 

訪日客需要捉える   
ドンキHD         392(22) 大阪・なんば周辺の3店は売り上げの5〜6割が訪日客 
マツキヨHD        242(20) 訪日客消費は全体の1割強に。化粧品など好調 

(注)純利益は2018年度見通し。スタートトゥデイ、ドンキHD、マツキヨHDは市場予想。カッコ内は前期比の増加率、%  

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