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スマホで十分、財布レス、キャッシュレス決済、8割が「したい」、使う現金、週1000円だけ、手帳型ケースが代替。

[ 2018年4月23日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 現金を使わずにクレジットカードや電子マネーで決済した金額の割合は2割といわれるが、若者を中心にキャッシュレス派が広がっている。現金払いお断り、仮想通貨で支払いOKの店舗も地方に登場してきた。消費者の財布はどんどん小さくなり、スマートフォン(スマホ)ケースは多機能、高級化が進む。財布が姿を消す時代は意外と早いかもしれない。

 「長財布を使っていたけど、現金をそんなに入れないので必要なくなっちゃって」。東京都江東区の会社員、小野彩子さん(28)は最近、手のひらサイズの財布を買った。小野さんはクレジットカードや「スイカ」などの電子マネーをよく使う。「支払いの8割はキャッシュレス。現金はカードが使えないランチや古着屋くらい」という。

 「家賃もクレジット払いだし、支払いの9割くらいはキャッシュレス」と話すのは都内の会社員、柳川裕美さん(32)。柳川さんのスマホには電子マネーのアプリなどがずらり並ぶ。

 日本では現金主義が根強いといわれてきたが、電通の17年調査では「できるだけキャッシュレスにしたい」という割合が78・3%にのぼる。実際、キャッシュレスをためらう人が多いのは、手軽に決済できると、つい買いすぎてしまい、余計な出費につながりやすいからだ。

 この疑問を柳川さんにぶつけると「最近はキャッシュレスの方が家計の管理はしやすいんですよ。家計簿アプリを使えば、全て記録できますからね」と話す。

 登録した銀行口座の入出金やクレジットカードの利用の履歴を自動的に取り込んだり、レシートを撮影したりすれば、支出を費目別に振り分けられる。柳川さんが使う「マネーフォワード」は、たまったポイントの有効期限まで通知する。

 キャッシュレスに走る消費者が増えてきた背景には店舗対応が進んできたこともある。

 「現金でのお支払はできません」。17年11月にオープンした札幌市の飲食店「Café de K」の入り口にはこんな文言が掲示されている。支払いはクレジットカードか電子マネーだけ。ロイヤルホールディングスが同時期に都内で実験店を出して話題になったが、地方にもキャッシュレス店舗が出始めた。

 「最初はびっくりしたけど、小銭とかを出さなくていいのは便利よね」というのは月に一度はこの店に来るという自営業、松山ひとみさん(44)。友人とランチを終えて、松山さんがレジで取り出したのは、イオンのクレジットカード。松山さんは最近、ポイント目当てでこのカードを使っている。

 現金でのやり取りが当たり前だった場面でもキャッシュレスが浸透してきた。

 会社の飲み会などで、幹事がクレジットカードでいったん全員分を払い、後で参加者から現金で回収する光景はよくみられる。最近は若い世代を中心に「割り勘アプリ」を使う人が増えてきた。クレジットカードや銀行口座を使い、利用者同士で料金を請求したり、受け取ったりできるもので、国内ではエニーペイ(東京・港)の「ペイモ」やLINEの「LINEペイ」などがある。

 東京都渋谷区に住む会社員の前田塁さん(35)は「1週間に1000円しか現金を使わないことがある」というキャッシュレス上級者だ。前田さんは同僚らを集めて、料理を振る舞うイベントを頻繁に開く。

 3月下旬、東京・渋谷のライブハウスで前田さんは知人のバンドなどを集め、音楽を聞きながら前田さんお手製のカレーなどを振る舞うイベントを開催。入場口にはQRコードが印刷された紙が掲示され、スマホで読み取ってクレジットカード情報などを入力するとチケット代が支払えた。

 前田さんが使ったのはエニーペイが運営する「ペイモビズ」。商品名や価格などの情報を入力すると、商品ごとのQRコードが発行され、客がスマホで読み取ると、キャッシュレスで支払いができるものだ。ペイモビズは個人でも利用OK。参加者からはカード払いで集金ができ、結婚式の2次会などでも使われているという。

 今後、キャッシュレス化が進む原動力とみられるのがスマホ決済だ。KDDIの調査によると、スマホ決済の利用者は10〜50代の約2割で、およそ1千万人にのぼる。

 若者ほどスマホ決済に積極的で、現在スマホ決済を利用していない10代男女のうち今後、スマホ決済を「使うと思う」「たぶん使うと思う」と答えたのは53・8%で、30代の約1・5倍だ。

 スマホ払いを利用するキャッシュレス派で目立つのは、クレジットカードなどが収納でき、財布代わりにもなるスマホケースを持っていること。ヨドバシカメラでは17年のスマホケース販売に占める手帳型の割合は19%で14年の3%から急伸。

 高級化も進む。3万5千円でルイ・ヴィトンの手帳型スマホケースを買った石川県の女性は「大切なスマホなのでケースは高くても丈夫なものを使いたくて」と話す。

 西武池袋本店では3万円以上する超高級ブランドのスマホケースが1日数個コンスタントに売れている。「財布のかわりにスマホケースにお金をかける消費者が増えている」(そごう・西武)。都内の高級ブランド店では12万円するヘビ革のiPhoneケースが人気という。

 かつてスマホ決済をしない理由として、スマホをなくすと不安だからという声は多かった。最近は「財布はなくすかもしれないけどスマホはずっといじっているからなくさない」(前田さん)。なるほど。キャッシュレス時代というのはスマホが財布化し、財布の必要性が薄れることなのだ。

(高尾泰朗、千住貞保、花田亮輔)

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