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フェスタリアHD社長貞松隆弥さん――ジュエリー、女性のお守り、目標、ヴィトンよりフルラ(トップに聞く)

[ 2018年4月30日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 市場がピーク時の3分の1に縮小したジュエリー業界で、フェスタリアホールディングス(HD、旧サダマツ)が順調に売り上げを伸ばしている。同じ中価格帯の宝飾品店の多くが苦戦しているのとは対照的だ。両社の明暗を分けているのは何か。貞松隆弥社長(56)はいかに「精神的価値」を伝えられるかがカギを握るという。

(編集委員 大岩佐和子)

 ――顧客の消費行動は最近、どうですか。

 「カップルでよりも、自分へのご褒美で買いに来る女性が多いですね。目的をもって来店するよりも『キレイなものを見て帰宅したい』と立ち寄り、接客を受けて購入する人が目立ちます」

 「キャリア女性は10万円くらいの商品なら、カード払いで平気で買います。ショッピングセンター内の店舗だと3万円。男性がプレゼントのために買うと、もう少し安くて、1万〜2万円ぐらいでしょうか。自分が欲しいモノを買っているから、クリスマスの後に(フリマアプリの)メルカリに出回ることも、それほど多くありません」

 ――なぜ、ご褒美買いが多いのですか。

 「『精神的価値』に重きを置くからでしょう。当社は『永遠なものである宝石に思いを託して大切な人に伝えていこう』という、商品づくりや接客に取り組んでいます。欧州では『ビジュ・ド・ファミーユ』(家族の宝石)といいます」

 「いま、女性は資産価値ではなく、圧倒的に精神的価値でジュエリーを買います。諸説ありますが、2001年の米同時多発テロを機に、この傾向が表れ始めました。11年の東日本大震災で、決定的になりました」

ファッションの
流行は追わない

 ――具体的にはどういうニーズでしょう。

 「ある時、がんの告知を受けたお母さんが『先は長くないから、娘に残したい』と来店したこともありました。そのお母さんから連絡は途絶えましたが、娘さんはジュエリーを握りしめて頑張っているかもしれない。これぞ、ビジュ・ド・ファミーユです」

 ――ファッションアイテムとしての需要はどうでしょう。

 「そもそも服を買わないのに、服より高いジュエリーを『春の新作が出ました』といっても、女性は見向きもしません。ファッションのトレンドに合わせてジュエリーのデザインを変えるなんて、ナンセンスです」

 ――ビジュ・ド・ファミーユを伝えるためにつくった「ウィッシュ・アポン・ア・スター」の売れ行きが好調ですね。

 「ダイヤモンドに2つの星が浮かび上がるオリジナルカットが特徴です。ジュエリーは母親から娘に受け継がれた時にリフォームされてしまうので、カットでその思いを伝えていくしかないと考えました。年々売り上げを伸ばし、17年度は37億円に達しました」

 「値段は通常のブリリアントカットより3割高く、光の反射はブリリアントカットと同じ。違いは星の模様が出るだけですが、『ビジュ・ド・ファミーユ』の価値が認められています」

 ――よく見ないと星の存在は分かりません。

 「隠れているからいいのです。"隠れミッキー"のようなもので。あからさまだと、売れません。下着や香水と同じ、お守りなんです。(縁結びで知られる)東京大神宮(東京・千代田)の『星まもり』にはウィッシュ・アポン・ア・スターのキュービックジルコニアが添えられています」

 ――3月にサダマツから社名変更し、持ち株会社化しました。

 「56歳になり、ようやく経営者を育てなければならないという気持ちになりました。経営者は10年やそこらでは育たない。今から育て、4ブランドをそれぞれ分社化させようと考えています」

 「オヤジから眼鏡屋を引き継いだ時、資金繰りが大変で、社名を考える余裕がありませんでしたが、かねて社名を変えなければと思っていました。百貨店のバイヤーなどが評価するのはサダマツではなく、フェスタリアという店名ですから」

銀座に旗艦店
海外への決意

 ――昨年3月には銀座に旗艦店を出しました。

 「迷いました。若手を集め、出すべきかどうか聞いたら『赤字だからやめましょう』と言われ、切れました。人口は100年後には半減し、アジアに出ていくしかありません。家賃が高くて赤字ですが、海外に出ていくからには看板は銀座の中央通りに出さないと」

 「昨年12月には台湾に新しいコンセプトの店を出しました。ずっと国内で『目指せ4℃(ヨンドシーHD)さん』でやってきましたが、海外なら一気にラグジュアリーに行けるかなと。消費が二極化する国内では、『ルイ・ヴィトン』じゃなくて、働く女性が頑張ったら買える(イタリアのバッグブランド)『フルラ』くらいのポジションになりたいですね」

 ――ジュエリー市場は1兆円を切り、縮小し続けています。

 「日本が欧州のように成熟すれば、市場は伸びます。欧州の国内総生産(GDP)に対するジュエリー支出を参考にすれば、1兆2000億〜1兆3000億円に回復する可能性はあります」

業績データから
「海外」「ネット」拡大カギ

 フェスタリアホールディングスの2017年8月期の売上高は前の期比3%増の95億円と過去最高だった。好採算のブライダル宝飾品を中心に販売が伸び、営業利益は3億1100万円と44%増となった。

 18年8月期の売上高は前期比4%増の100億円、営業利益は3%増の3億2000万円を見込む。販管費は増える傾向にあるがコスト管理などで補う。20年8月期までに100店舗体制、150億円の売上高を目指すとしているが、実現に向けては強化を進める海外事業とネット事業の拡大、収益化にかかっている。(高橋彩)

 さだまつ・たかや

 1984年(昭59年)成城大経卒、和真入社。86年サダマツ(現フェスタリアホールディングス)入社。00年から現職。ミュージシャンを目指すほどの音楽好き。長崎県出身。56歳

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