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ミライのオミセ(上)深夜1時、消えた店員――日米中、無人化競う。

[ 2018年5月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 消費の現場が変わろうとしている。無人化に挑戦したり、モノを売るだけではなくシェア経済やコト消費を取り込む工夫をしたり。人手不足など小売業や外食産業を取り巻く環境は厳しく、今のままでは生き残れない。わたしたちの身の回りに登場し始めた、ちょっと先のオミセの姿を追う。

 駅からは歩いて10分ほどの幹線道路沿いに立つ「ローソン大井店」(東京・品川)。外から見ていれば夜でも明るい普通のコンビニだが、午前1時を過ぎて中に入るとレジにいるはずの店員がいない。代わりにあるのは、用があればベルを鳴らしてほしいと知らせる、お断りの一文だ。

 この店はローソンが2カ所で取り組む、深夜レジの無人化実験の舞台だ。住宅街やオフィス街など深夜の利用客が少ない店の効率化を探っている。今のところ店員がいないわけではなく、売り場で商品の補充などに専念してもらう。

 ではどうやってお金を払うのか。代わりに使うのは、客のスマートフォン(スマホ)だ。アプリを使って買いたい商品のバーコードを読み取って、決済方法を選ぶだけ。午前3時すぎに来店した30歳代の女性はばんそうこうを買った。「とても便利」と、接客がなくても満足そうだった。

 深夜のレジ無人化を模索しているのは、人手不足が深刻だからだ。深夜勤務がつきもののコンビニには重くのしかかり、竹増貞信社長は「24時間営業を続けていくためにも生産性の向上は欠かせない」と話す。5月末まで実験をしたうえで、9月から希望する店で導入していく。

 「食器を下げるときは人の3倍ぐらい運べて、効率的ですよ」――。

 ロイヤルホールディングスが運営する「Qカフェ・バイ・ロイヤルガーデンカフェ」(東京・千代田)の北村雅樹店長は、一風変わった「店員」を頼りにしている。

 その店員とは配膳ロボット。ヒト型ではなく、見た目はワゴンが勝手に動いている。速さは人が歩くときの4分の1ほどだが、店の人気者だ。厨房から離れた席との間で、料理や食べ終わった食器を運ぶ。テーブルに料理を並べるのは店員だが、将来は音声で案内して客に任せることも検討する。会話を邪魔されたくないビジネス客には好都合かもしれない。

 裏方の仕事でも省人化は進む。すかいらーくの「ガスト」や、セブン&アイ・フードシステムズ(東京・千代田)の「デニーズ」は、店ごとの1日の売り上げから足りない食材を自動で発注するシステムを導入する。店長の負担が軽くなり、難解な発注作業の教育も省ける。

 米アマゾン・ドット・コムや中国のアリババがそれぞれ自国で無人コンビニに取り組むなど、世界の企業が無人化の技術を競う。その分、店員にはますます、客の心をつかむ機転と接客術が期待されそうだ。

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