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好調ユニクロ、改革道半ば、4月売上高10%増、IT活用急ぐ。

[ 2018年5月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ファーストリテイリング傘下のユニクロが好調を維持している。2日発表した4月の国内売上高(既存店ベース)は前年同月比10%増だった。2017年9月以降の累計でも約1割のプラスとなった。旗艦ブランドの好調はファストリの業績をそのまま押し上げるが、一方では海外も含めた拡大路線に生産・経営改革が追いついていないのが実情だ。

 4月は気温の高い日が多く、通気性に優れた肌着「エアリズム」など定番商品が好調。客数と客単価はともに前年実績を上回った。来店客増に寄与したのはフィンランドの人気ブランド、マリメッコと組んだ衣料品だ。3月末の発売以降、順調な売れ行きで、一部商品は品切れ状態だ。

 ただ、ファストリの内部では好調を手放しで喜んでいるわけではない。

 「売れ過ぎても売れなくても怒られる」。社内で長年の課題を指摘するこの言葉が今年も飛び交った。この冬は記録的な寒さが襲い、「シームレスダウン」などの欠品が店頭で相次いだ。今度は早くも初夏のような陽気だ。売れ行きは天候に大きく左右され、まだ余剰も不足もしない生産枚数を読み切れない。

 衣料品で世界3位になったファストリだが、規模の割にいまだ人手に頼る部分も多い。

 「自動化されているかと思ったら、人が手でピッキングしていた」。東京・有明にあるファストリのオフィス兼物流拠点を訪れた都内のある店長は、最新鋭とはほど遠い物流の現状に驚いたという。衣料品の世界最大手で「ZARA」を運営するスペインのインディテックスが擁する巨大物流センターは、洋服がハンガーにかかったまま自動で振り分けられて世界各地に送り出される。

 この実力差を埋めるカギが、柳井正会長兼社長が標榜する「情報製造小売業」への転換だ。IT(情報技術)を駆使して商品企画から生産、物流、販売までの仕組みを作り替える――。

 17年2月にその「有明プロジェクト」を立ち上げてから1年あまり。秘密のベールに覆われ実情は見えにくいが、その理由を内部の関係者は「今言えることが少ないから」とこぼす。

 店頭では少しずつ変化が出てきた。「アプリに登録しているか、必ず聞いています」。都内の販売員は口酸っぱく言われているという。アプリを介して購入履歴や採寸データを蓄積する狙いだ。

 柳井氏は「情報はオイル」だとし、「情報を制した者が全部を制する」と強調する。だが一方で17年11月には大型セールの初日にネット通販サイトで障害が発生し、丸1日、サイト上で商品が売れなくなった。未来像と現実との落差が目立つ。

 柳井氏は有明プロジェクトが思うように進んでいないとの指摘に対し、「ビジネスが簡単でないことはわかっている」と意に介さない。5月下旬に最大2500億円の社債発行を決めた。ITへの設備投資などに充てる予定で、販売計画や生産数量の精度向上や、作業の機械化を予定する。今後も海外を中心に積極出店の手は緩めない。規模拡大に耐えられる経営体制へ生まれ変わりを急ぐ。

 柳井氏が条件付きながら社長を譲ると語った70歳の節目まで1年を切った。そのときに向け、事業拡大と経営改革の両輪を回すことができるか。

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