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商社の戦略、食品卸が支え、伊藤忠、日本アクセスと協業深化、物流網、川下掌握の要に。

[ 2018年5月17日 / 日経産業新聞 ]

 伊藤忠商事がユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社にし食品流通の川上から川下を掌握する。伊藤忠の決断を後押ししたのが子会社で食品卸2位の日本アクセスの存在だ。物流コストの上昇を背景に、自前物流の役割が高まっている。コンビニ・スーパー事業を取り込み、グループ全体の収益最大化をもくろむ伊藤忠の戦略を縁の下で支えている。

 「日本アクセスには全国550拠点、1万台のトラックがある。これが今後生きてくる」。伊藤忠の岡藤正広会長兼最高経営責任者(CEO)は8日、決算会見で強調した。その上で「あれだけの低温配送の機能はヤマト運輸でもない。米アマゾンも欲しがっている」と話し、日本アクセスの物流機能を活用してファミマなどの店舗を使った新事業を模索する。

 食品卸の日本アクセスは国内1万7千店のファミマ店舗への1日3回の配送業務を受託する物流業者の顔も持つ。ネット通販などと連携すれば、店舗での商品受け取りサービスにも活用可能だ。

 岡藤会長は「コンビニと卸の両方を子会社化して全体最適を考える」と話しており、ファミマと「兄弟会社」となる日本アクセスとの協業深化を進める考えだ。

 日本アクセスはもともと雪印乳業の卸部門で、伸び盛りの低温物流に強みを持つ。雪印の2000年の集団食中毒事件を経て伊藤忠が傘下に収めた。伊藤忠は1990年代に経営不振の西友からファミマ事業を取得しており、20年以上の時を経てコンビニと食品卸を組み合わせた新事業開発に乗り出す格好だ。

 食品流通の事業拡大を進める総合商社にとって食品卸は欠かせないピースとなりつつある。

 食品卸首位の三菱食品は三菱商事が60・9%を出資する子会社。三菱商事が17年2月にローソンを子会社化した背景には伊藤忠同様、三菱食品の機能をフル活用する狙いもあった。三菱食品は18年3月期にローソン向け売上高が大幅に増えた。

 三菱商事はスーパー最大手のイオンやライフコーポレーションの筆頭株主でもあり、食品スーパー数社と提携している。これら川下の有力小売業を三菱食品の物流網でカバーすることで効率配送につなげる戦略だ。三菱商事が手掛ける商材の販路が広がる好循環も生んでいる。

 伊藤忠や三菱商事と異なる道を歩むのが三井物産だ。コンビニ王者のセブン&アイ・ホールディングスに出資するものの、保有比率は1・8%と低い。セブン側は三井食品のほか、伊藤忠食品や国分など他の食品卸を競わせて最良の取引条件を引き出している。

 三井物産の安永竜夫社長は「我々とセブンは是々非々の取引。いわば大人の関係だ」と話す。コンビニ事業を子会社にする伊藤忠と三菱商事を意識した発言。ただ「是々非々」ゆえに、全額出資子会社の三井食品がセブンに卸していた数百億円規模の取引を競合会社に奪われることもあった。

 食品卸は流通の黒子役で、普段は表に出てこない。しかし食品事業は総合商社が非資源分野で成長領域と位置付けており、食品卸との提携関係は戦略の成否を左右しそうだ。(細川幸太郎)

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