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ネット×リアル――売り場は「見せ場」、サイト誘導、「ザラ」が期間限定店、良品計画はアプリで誘客。

[ 2018年6月3日 / 日経ヴェリタス ]

 勢いを増すネット企業の実店舗(リアル)進出を目の当たりにし、従来のリアル店舗網を展開する各社は危機感を強めている。先行する企業の取り組みで共通するのは「自らの強みを生かすこと」。これまで磨き上げたリアル店舗や商品開発、物流網を基盤としながら「ネットでリアルを補完する」戦略が成否のカギを握る。

 5月上旬、六本木ヒルズ(東京・港)に商品をその場で持ち帰れない衣料品店が現れた。衣料品世界最大手インディテックスの主力ブランド「ZARA(ザラ)」の期間限定店だ。

 客は気に入った商品のバーコードをスマホアプリで読み取り、スマホ上で試着を予約するか購入するかを選ぶ。レジは原則として使わず、購入後は自宅に配送してもらう仕組みだ。客は買い物後も手ぶらでレジャーや飲食を楽しめるし、店側は数多くの店頭在庫を売り場に陳列したり、在庫を多く持つ手間が省ける。店舗は売り場でなく「見せ場」という発想。海外では「ショールーミング」と呼ばれている。

 丸井グループ(8252)も有楽町マルイ(東京・千代田)に「マルイのズボン体験ストア」を設け、注目を集めている。客は試着で股下などを計測すると商品の型番や価格などが載ったQRコード付きの紙を受け取る。スマホで読み取ると通販サイトにつながり、そのまま購入できる。実際に試着してみないと不安という消費者ニーズと、決済や持ち運びの効率化をいいとこ取りする新たな融合戦略だ。

 こうした仕組みは大きくて持ち運びがしにくい家具にも応用が可能だ。ニトリホールディングス(9843)もアプリで店舗の商品バーコードを読み取って購入できる「手ぶらdeショッピング」を提供する。

 これまで試せなかったものを最新技術で可能にしようとするのはエイチ・アイ・エス(9603)だ。泊まりたい海外ホテルの客室をVR(仮想現実)動画で顧客がみれるようにし、関東で海外旅行を扱う全127店に配備した。

 セブン&アイ・ホールディングス(3382)は「ネットスーパー」ならぬ「ネットコンビニ」を始めた。店で売る商品をスマホで注文すれば最短2時間で自宅などで受け取れる。まずは北海道内の約1000店で展開する計画で、その後は順次全国の2万店超に拡大する。コンビニ大手による店舗商品の配送サービスは初めてだ。「全国2万店で2800品をすぐに届けられるサービスはリアル店舗を持つセブンにしかできない」(セブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長)と鼻息は荒い。

 すべてをネットに置き換えるのでなく、実店舗を持つ強みを生かしながらネットを補完に使う。こうした戦略が現時点では成功方程式のようだ。

 スマホアプリを活用してリアル店舗への誘導を強化するのは良品計画(7453)の「MUJIパスポート」だ。アプリを通じて提供するのはキャンペーン情報やポイントだけではない。アプリの画面には「【有楽町】山桜の木でつくるバターナイフ」「【有楽町】白ビーツとケールのマリネサラダ 青果売場のおすすめレシピ」など各店舗で開く体験イベントやイチ押しの情報が毎日のように流れる。「顧客個人と店との関係を強化する」(川名常海WEB事業部長)狙いだ。実際にこうして囲い込んだ顧客がリピーターとなり、売り上げ増につながっている。既にアプリのダウンロード数は約1100万で、国内売り上げの約5割を同アプリの利用者が占めている。

 ネットをリアルの補完に使う企業は市場の評価も高い。1年前と比べた株価上昇率は丸井グループが33%、良品計画も26%に達し、日経平均株価の1割強を大きく上回っている。

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