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ユナイテッドアローズ――実力診断、株、上昇材料乏しく、物流や店舗改革の成否カギ(注目企業ここが知りたい)

[ 2018年6月10日 / 日経ヴェリタス ]

 株価は4000円前後で推移しており、3月26日に付けた年初来安値(3875円)から反転するきっかけがつかめていない。2019年3月期は既存店の改装やサプライチェーンの見直しなどを進め、連続増益を目指すものの、市場の評価につながるような材料が不足気味だ。

 月次売上高の調子は悪くない。6月4日に発表した5月の結果は、小売りとネット通販を合わせた既存店売上高は前年同月比3%増と4カ月連続で前年を上回っている。

 19年3月期通期の連結業績は売上高が前期比1%増の1563億円、純利益は14%増の60億円を見込む。市場はもう少し強気だ。アナリスト予想の平均を示すQUICKコンセンサスによると、純利益予想は会社計画を大きく上回る24%増の64億円。SMBC日興証券の金森都氏は「売り上げ好調による業績の上振れを期待する流れになる」と指摘するが、株価は勢いを欠いている。

 市場の評価が定まりにくいのは、ユナイテッドアローズが進める構造改革の成否が見えにくいためだ。

 例えば実店舗とネットを融合させる「オムニチャネル」の成否だ。ネット販売が増えている実情を踏まえ、Uアローズは新規出店を抑えて既存店の改装を優先している。店で顧客の信頼を獲得し、ECでの購入につなげるのが狙いだ。竹田光広社長は「自社ECは実店舗の延長線上にある」と話す。

 現状では実店舗で一段と急成長するシナリオは描きにくい。利益率が保ちやすいECを伸ばして全体の売り上げ増につなげ、相乗効果を得るには、今後、物流や店舗の作業効率化といったサプライチェーン改革の見直しが成功するかどうかが左右する。

 「グリーンレーベルリラクシング」では商品にRFID(無線自動識別)機能を持つICタグを取り付け始めた。導入した店舗では作業効率が改善したといい、Uアローズは棚卸し作業の手間や時間の短縮で人件費の抑制につなげる方針。19年3月末には国内全店の商品へのタグの取り付けが完了する見通しだ。今後はICタグを使って販売動向を分析する仕組みなどの導入も検討する。

 今期中にこうした改革の成果が利益率の改善や増益幅の拡大といった実績で確認できれば、株価反転のきっかけとなるかもしれない。ただ既に市場予想が強気なだけに「想定を上回る効果」が条件になりそうだ。

 楽天証券の窪田真之氏は、ファーストリテイリング(9983)が持つ低コスト運営の仕組みやスタートトゥデイのプラットフォーマーとしての集客力といった「強み」を例に引きながら、Uアローズも「圧倒的に強い『武器』を獲得していく必要がある」と指摘している。(菊地悠祐)

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