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ユナイテッドアローズ、反転攻勢の糸口は、カジュアルブランドとECで再成長(注目企業ここが知りたい)

[ 2018年6月10日 / 日経ヴェリタス ]

セレクトショップ大手、ユナイテッドアローズ(7606)が反転攻勢の糸口を探っている。
高価格帯から低価格帯へ。カジュアルブランドと電子商取引(EC)で再成長を目指す。

 休日に家族連れやカップルでにぎわう東京・お台場。駅前のショッピングセンターの一角に構える「コーエン」の店頭には、初夏らしいさわやかなコーディネートの服を着た親子のマネキンが並んでいる。2歳の長男と店舗を訪れた、会社員の黒瀬悟さん(38)が手に取ったのはボーダー柄のポロシャツで、価格は税別2700円。「ベーシックすぎないデザインで、おしゃれ。この価格なら家計への影響も気にせず、気軽に買える」と笑う。

 「コーエン」はユナイテッドアローズがグループを挙げて強化しているカジュアルブランドだ。中心価格帯は4千円前後で、2万円台の主力ブランド「ユナイテッドアローズ」(UA)より大幅に低い。団塊ジュニア層を主なターゲットに絞り、家族向けの需要も取り込もうと女性服や子供服も扱う。都市部や郊外を中心に店舗数は85店まで増えた。

 2018年3月期、Uアローズの連結営業利益は前の期比15%増の105億円と4期ぶりの増益となった。ただ最高益だった14年3月期に比べると7割の水準だ。円安でコストが上昇し、値上げしたところ、客足が離れた。既存店ベースでは14年3月期から18年3月期まで客数は5年連続でマイナスが続く。

 客単価の増加だけでは補えない売り上げ増をもたらしたのはネットの力だ。ネット通販の既存店売上高は、前の期比16.4%増。実店舗は1.2%増にとどまったものの、店舗とネット通販の合計では4.2%の増収を確保。電子商取引(EC)の売り上げ比率は18%に上昇した。値引き販売を抑え、営業利益率は6.8%と0.5ポイント改善した。

 それでもUアローズのEC比率は、アダストリア(2685、17%)やTSIホールディングス(19%)とほぼ同じ水準だ。「ゆくゆくは全体の3割まで高めたい」と見込む竹田光広社長が、次の中核ブランドに据えようとしているのがコーエンだ。

 コーエンの前期の売上高は前の期比11%増の118億円。ネットを経由したコーエンの売れ行きは、主力のUAを上回る勢いになってきた。前期にはコーエンブランドとして黒字を確保し、グループの収益を支えた。

 問題は、コーエンが狙う市場や顧客はアダストリアなど競合がひしめく厳しい競争環境にあることだ。竹田社長は「UAの長所をコーエンに埋め込んでいく」と話す。UAにならい、コーエンでもビジネスで使える品ぞろえを増やす計画だ。

 競合が激しく、価格にシビアな顧客層を相手にする以上、コストは徹底して下げなければならない。焦点は物流だ。Uアローズは5月、千葉県流山市に新物流施設を稼働させた。償却負担が重くなる18年4〜9月期の営業利益は前年同期比27%減の見通し。ただ工場や倉庫内の物流を自動化する最新のマテリアル・ハンドリング(マテハン)機器を導入して効率を上げ、19年3月期通期では3%増益を目指す。

 現時点で新物流施設が扱う商品はすべて実店舗向けだ。ネット通販分は売り上げの6割をスタートトゥデイ(3092)が運営する「ゾゾタウン」が占めており、自社ECサイトで運営する商品の在庫管理や配送も同社に委託している。竹田社長は今の仕組みをすぐ変える考えはないとした上で「将来自社ECで直接顧客への対応が求められた時には耐えられるキャパシティーを用意したい」と述べている。

 ネットで服を買うという潮流はますます大きくなる。人気ブランドだったUAの品ぞろえは、ゾゾタウンの急成長に欠かせない存在だった。アマゾンジャパン(東京・目黒)や楽天(4755)などが入り乱れるなか、ネット販売比率が高いコーエンを育てようとするUアローズにとっても、自社EC事業の再構築は避けられない課題になる。

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