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ユナイテッドアローズ――竹田光広社長、アジアに将来性、次の中計で示す(注目企業ここが知りたい)

[ 2018年6月10日 / 日経ヴェリタス ]

 ――アパレル市場が縮小するなか、2018年3月期は4期ぶりの営業増益に転じました。

 「ファッションは二極化がますます鮮明になっている。50万円のスーツをためらいなく買うお客様がいる一方、多数のお客様は価格に厳しく、今すぐ着ることができる実需品を求める傾向が強まっている。17年3月期までは価格に見合う付加価値を提供できておらず、苦しんだ」

 ――前期にかけて進めてきた改革をどう分析していますか。

 「天候不順による影響は『必ず受ける』という前提で態勢を組んだ。必要な商品をすぐに供給できるように、1年を8シーズンに分けて機動的に対応している。従来は1年を6シーズンで分けていた」

 「(カジュアル衣料ブランドの)『コーエン』は、これまで利益面で苦戦していた。ただターゲットを明確にして品番を絞り込むといった取り組みを続け、無駄をそぎ落としてきた。ようやく戦える体制になったと思う」

 ――次の成長シナリオをどう描いていますか。

 「これまでは『ユナイテッドアローズ』や『ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ』など高価格帯のブランドが成長をけん引してきた。ただ消費者の価格意識は依然として強く、今後はこうした価格帯の市場が縮小していくという見方がある」

 「これから拡大するのは、少し価格が低いブランド『コーエン』や『ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング』だ。電子商取引(EC)の平均購入単価は実店舗よりも低いという傾向がある。両ブランドとの相性も良い」

 ――EC事業の課題は何ですか。

 「実店舗と同じレベルのサービスをECでも提供できるようにする。お客様がネット通販で服を買うことに抵抗がなくなっているのは確かだが、まだスタイルの提案は十分にできていない。足りないサービスを補い、中長期的にECの販売比率を売上高の3割に高めていく」

 「購買履歴からサイズなどスタイルの提案に必要なデータを集めていく。これは自社で扱うECでしかできないことだ。もちろん他社のECモールにもそれぞれのお客様がいるので、そこも並行して強化するつもりだ」

 「新しい物流施設を稼働させたのも『コーエン』などの売り上げ増に備え、低コストで運営できるようにするのが目的だ」

 ――そのECではゾゾタウンを通じた売り上げ分が6割に達しています。EC比率の上昇にあわせてどう見直しますか。

 「販売比率をすぐにどうするという考えはない。ゾゾタウンには05年から出店しているが、当時はこれほど多くの人がECで服を買う時代になるとは思わなかった。これから『服を買う』というシーンには大きな変化が起こる可能性がある。柔軟に対応していく」

 「ブランド力の強い商品はECで売れる。今後は換金性という視点からの購入も増える。一例を挙げればカナダグースだ。1シーズンで10万円出費しても、シーズンの終わりにCtoCで売って次の服に買い替えるといった流れが強まるかもしれない」

 ――海外事業を少しずつ広げてきました。台湾でマーケティングを始めてから5年たちました。どんな展望を持っていますか。

 「今後は少子高齢化で人口が減っていく。アジアというマーケットを無視できないのは、周知の事実だ」

 「訪日外国人観光客には今、高価格帯の『ユナイテッドアローズ』などのブランドが人気だ。ただアジアという大きなパイでみていけば、コーエンの方が伸びしろはあるかもしれない。コーエンは4月から台湾でECを始めたが、評判が良い。早期にテストの結論を出し、次の中期経営計画でどう展開していくかを示す」

 ――市場では株主還元への期待が高まっています。

 「自己資本利益率(ROE)を16%以上、配当性向を35%以上という方針に沿って株主還元を検討していく。お客様から株主まで幅広いステークホルダーの期待に応えていきたい」

たけだ・みつひろ 1986年大分大経卒。兼松江商(現兼松)を経て2005年にユナイテッドアローズ入社。主にブランドビジネスを手掛け、10年取締役常務執行役員、11年取締役副社長執行役員、12年から現職。趣味は月2回の海釣り。福岡県出身。55歳。

■ユナイテッドアローズ 1989年に設立されたセレクトショップ大手。主力ブランド「ユナイテッドアローズ」が売上高の3割を占め、都市の駅ビル、ファッションビルへの出店が中心。08年にコーエンを設立。13年に台湾に子会社設立。近年はネット通販に注力。

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