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協争――ライバルと手結ぶ、物流や集客、垣根越える(BizBuzzワード)

[ 2018年6月20日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 大阪府摂津市のJR貨物大阪貨物ターミナル駅で、毎週月曜日の正午に専用列車がゆっくり動き出す。100個近いコンテナに、アサヒビールやキリンビールの商品がぎっしり。ビール大手4社が4月、九州行きで始めた共同輸送だ。

 普段はシェアを奪い合う相手だが、輸送では協力する。長距離トラックの運転手が不足しているからだ。4社で1年間に大型トラック2400台分の輸送能力を確保する。アサヒグループホールディングスの小路明善社長は「普段は競争しているが、できるところは協力する」と話す。

 協争――。敵同士の企業が場合によって手を組む関係を指す。友達(フレンド)と敵(エネミー)を合わせた造語、フレネミーともいわれる。人手不足のような経済の構造変化に、企業の戦略も変わりつつある。

 東京・銀座の百貨店の事例はもっと身近だ。松屋銀座店(東京・中央)と阪急阪神百貨店の「阪急メンズ東京」(同・千代田)が6月、優待サービスで協力した。どちらかの会員であれば、相手の店で買い物ポイントが加算されたり割引されたりする。カード会員数は合計で約70万人になる。

 この場合の構造変化は東京都心ですすむ再開発だ。松屋で顧客戦略を練る服部延弘担当部長は「商業エリア間の競争が激しい」と話す。銀座・有楽町から、渋谷や日本橋へと消費者が流れてしまうことを懸念する。

 協争の相手が同じ業界にいるとは限らない。

 トヨタ自動車は2016年5月にシェアリングサービス大手、米ウーバーテクノロジーズと提携した。車を共有するシェアサービスの広がりは自動車メーカーの販売に響く。その意味で両社はライバルの間柄だ。三菱総合研究所によると、日本で通勤などでのシェアリングが進むことを前提に30年頃の輸送機械産業の価値をはじいたところ、現在より1兆円減る。

 それでもトヨタはモビリティーサービスの関連分野を新たな収益源に育てるため、ウーバーに車両のリース提供を持ちかけた。経済構造の変化が激しいほど、協争のうねりも強まる。

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