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ドラッグ店、独走、大手4社、最高益更新、ツルハ、79店改装17%増収、医薬・化粧品、利幅大きく(ビジネスTODAY)

[ 2018年6月19日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 小売業のなかでドラッグストアの一人勝ちが際立ってきた。18日に2018年5月期の連結決算を発表したツルハホールディングス(HD)を含め、大手4社がそろって前期に最高益を更新した。医薬品や日用品に加え、スーパーやコンビニエンスストアが得意とする食品販売にも手を広げて利用客を奪っている。

 「改装して食品売り場を広げると半年〜1年で1店舗当たりの売上高は平均約350万円増える」。業界2位、ツルハHDの堀川政司社長は18日、決算発表の場で具体的な数字をあげて説明した。17年度中に79店舗を改装。食品の売上高は前年同期比39%増と商品別で最も伸び率が高く、構成比は20%に達した。

 ドラッグストアの主力販売品である医薬品や化粧品は食品に比べ粗利益率が高い。値引き余力が大きいのを武器に「客寄せ」の食品は安売りし、スーパーなどの顧客取り込みに成功している。客数が増え医薬品などの販売量も増えれば収益は確保できるという計算だ。

 ツルハHDの連結売上高は6732億円と、過去最高だった17年5月期(5770億円)からさらに17%増えた。首位ウエルシアホールディングス(HD、18年2月期の連結売上高6952億円)の背中ももう目の前だ。

 17年9月に同業の杏林堂グループ・ホールディングス(浜松市)を子会社化したことも全社売上高と食品比率の底上げにつながった。18年度も食品売り場を広げる改装を約80店舗で実施する。

 食品シフトはドラッグストア大手に共通の戦略だ。日本チェーンドラッグストア協会(横浜市)によると、17年度のドラッグストア全店売上高は6兆8504億円と前年度比5・5%増えた。食品の売上高が同8・5%増と大きく伸びている。コンビニの17年の全店売上高は前年比1・8%増(暦年)、食品スーパーは1%増(同)だった。

 「ネット通販とドラッグストアが成長し、ほかの小売業が落ちていくという構図になるのではないか」。ウエルシアHDの池野隆光会長は豪語する。調剤や医薬品の販売には有資格者が必要で参入ハードルが高い。病気が突発的だったり、対面で説明を聞きたかったりするため、消費者は医薬品の購入では実店舗を選ぶ傾向にある。「リアル」の強さを生かしたインターネット通販への抵抗力も抜群だ。

 ウエルシアHDは健康を軸としたプライベートブランド(PB)食品にも力を入れ、山崎製パンなどと商品を共同開発している。

「食品依存」リスク

 ドラッグストアは食品を武器に店舗網を拡大しているが、リスクも見え始めた。

 食品の売上高が39%を占める関東地盤のクリエイトSDHDは、18年5月期の連結純利益が前期比3・9%減となる見通しだ。食品などの値引き販売をしたところ、利益率が低下。生鮮の取り扱いを広げたことでロスも増えた。食品の構成比率が56%と高く九州を地盤に成長を続けてきたコスモス薬品も18年5月期の連結業績で減益を見込んでいる。

 JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリストは「人件費の高騰や出店の増加により経営の難易度が上がり、ドラッグストア全社がそろって伸びるという状況は変わった。食品の取り扱い方を各社が模索し始めている」と指摘する。大手も食品シフトが行きすぎれば業績の下押し要因になりかねない。

 クリエイトSDは17年度上期は食品販売を強化する店舗改装を進めてきたが、下期は健康や美容など「非食品」分野に重点を置く。

 マツモトキヨシHDは健康と美容に特化した新業態の展開を進めるなど、ドラッグストア本来の強みを磨いている。小売事業に占める食品の売上高は10%に抑えながら、営業利益率は3年で2・4ポイント改善した。

 医薬品という本来の武器を生かしながら、いかに多角化を進めるか。立地や価格戦略、ターゲットの絞り込みなど、同質化を避けるための戦略がドラッグ各社に求められている。

(矢尾隆行)

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